「また高層ビルが建つのか」 再開発はなぜ「負」のイメージが強くなったのか(2/7 ページ)
東京や大阪など、大都市部で再開発が盛んにおこなわれている。その意図は何なのか、そして“良い再開発”と“悪い再開発”の差は何なのか……。
最近の再開発の定番パターンは?
うめきた公園が話題になったのは、最近の再開発について多くの人が「ほぼ同じじゃない?」と思っていたからだろう。
例えば東京。2023年は麻布台ヒルズが、2024年にはShibuya Sakura Stageなどが開業した。六本木や渋谷、臨海部を中心に再開発ラッシュが続いている。だが、そうして誕生したビルは、往々にして「似ている」。実際には違いがあれど、少なくとも「そう思われている」。その特徴は、例えば次のようなものだ。
- 基本的には高層ビルで、屋上部は凝った形になっている。
- ビルは中・高層階にオフィスやラグジュアリーホテルが入り、低層階は少しお高めなレストランや商業施設が入る。
- 低層階は曲線を主とする建築で、そこを覆うように緑化されており、壁面緑化や屋上緑化がされている場合もある。
ここに「ウェルビーイング」や「多様性」などの言葉が入った施設全体のスローガンなどが加わることも。筆者は、こうした再開発ビルを「高層緑化様式」という一種の様式美として捉えている。
代表例が麻布台ヒルズだ。中高層階にはラグジュアリーホテルの「Janu TOKYO」が入り、低層階には少しお高めのレストラン。そして、それを取り囲むのはトーマス・ヘザウィッグによるうねうねとした建築とそれを覆う緑。まさに「高層緑化様式」だ。
こうしたビルは今後も誕生する。例えば、2025年3月に開業する「TAKANAWA GATEWAY CITY」。JR東日本が初めて手がける都市開発プロジェクトで、山手線の高輪ゲートウェイ駅周辺に「新しい街」を作るというものだ。
このイメージ図からも分かるように、これも「高層緑化様式」だ。うねうねした低層部の建築は緑化され、そこに高層ビルが彩りを添える。中のテナントもオフィスや商業施設、ホテルなどだ。実際のところはオープンしなければ分からないが、一般人から見れば、「また同じような建物か」と思われても仕方ないだろう。
もちろん各施設ごとに細かい違いはあれど、私たちが「再開発」というときに思い浮かべるイメージが、この高層緑化様式に現れている。
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