“もんで食べる”アヲハタの冷凍フルーツ、じわり人気 「ジャム以外」に注力する狙いは?(1/2 ページ)
アヲハタが2024年に発売した、パウチ入りの冷凍フルーツ「まるかじゅり」が好調だ。ジャム事業で知られる同社だが、どのような狙いから新カテゴリーを強化しているのか。
アヲハタが2024年の8月に発売した、パウチ入りの冷凍フルーツ「まるかじゅり」が好調だ。パウチの中に凍らせたフルーツと果汁が詰められており、手でもみほぐした後に吸って食べる……というコンセプト。シャーベットのような既存の果汁アイスとも冷凍フルーツとも異なる、「新カテゴリー」ともいうべき商品だ。価格はオープンだが、想定価格は248円。
これまでの売り上げは非公開としているものの、SNSでの反響が大きく「手に入らない」といった声も多く寄せられていることから、現在販路の拡大を図っているという。
ジャム事業で知られる同社だが、どのような狙いから新たなカテゴリーを強化しているのか。マーケティング担当者に話を聞いた。
「ジャム一極集中」に課題
まるかじゅりは、凍らせたフルーツ果肉と果汁が入ったパウチ入りの冷凍フルーツ。ネーミングは「まるかじり」と「果汁」を組み合わせたものだ。現在は、さっぱりとした味わいの「グレープフルーツ&オレンジ」と、甘みの強い「マンゴー&ベリー」の2種類を展開している。
アヲハタはジャムに続く「第二の柱」として、冷凍フルーツ商品を「フローズン事業」として2023年にローンチしている。
背景には何があるのか。マーケティング本部 マーケティング室 室長の富岡木子氏によると、ジャム市場は直近の10年ほど、縮小傾向にあるという。「ジャム消費の主な機会は朝食ですので、朝食の欠食率増加が大きな要因です。世帯人数も減っている中で、『ジャム一本柱』でやっていくことには危機感がありました」(富岡氏)
そこで同社は、「フルーツのアヲハタ」を掲げて冷凍フルーツに進出することで、「朝食以外」の喫食シーンにアプローチを広げようとしているのだ。
第1弾として打ち出しているのが、2023年に発売した「くちどけフローズン」。フルーツそのままの、一般的な「冷凍フルーツ」に近い形だが、凍結させる前に果汁づけにするという製法が採られている。こちらはジャム事業で培った、フルーツの加工・保存技術を生かしているとのこと。これにより、「凍ったままでやわらかい」食感を再現。冷凍庫から出してすぐに食べられる点を強みに、既存の冷凍フルーツに対抗しており、順調に売り上げを伸ばしているという。
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