“もんで食べる”アヲハタの冷凍フルーツ、じわり人気 「ジャム以外」に注力する狙いは?(2/2 ページ)
アヲハタが2024年に発売した、パウチ入りの冷凍フルーツ「まるかじゅり」が好調だ。ジャム事業で知られる同社だが、どのような狙いから新カテゴリーを強化しているのか。
テスト販売で好調
社内公募で寄せられたアイデアをもとに、第2弾として開発したのがまるかじゅりだ。主なターゲットとしては、忙しい中でも「フルーツを食べて、ほっと一息つきたい」「身体をいたわりたい」というニーズを持つ女性層を想定している。
国は1日のフルーツ摂取量の目標を「200グラム」と定めている。しかし中央果実協会の調査によれば、実際に摂取できている人の割合は13.6%。生のフルーツを食べない理由としては、「日持ちがしない」「皮をむく必要がある」などが多く挙げられているという。
まるかじゅりは、こうした理由でフルーツを食べる機会が少なくなっている人に「手軽さ」をアピールする商品だ。ワンハンドで食べられる形状にこだわっており、「従来の『形がある』冷凍フルーツからの脱却を目指しました」と、担当する佐々木優子氏(マーケティング本部 マーケティング室 フローズン事業チーム)は話す。
発売にあたっては、2019〜20年に一部コンビニで「グレープフルーツ&オレンジ」味のテスト販売を実施。「売れ行きにかなり手応えがあった」(富岡氏)とのことで、量産化に向けた準備を進めるに至った。「さっぱりしていておいしい」といった声が集まるなど好評を得た一方で、「果肉が見えているのに最後まで出てこない」といった意見も寄せられたことから、量産化にあたっては容器の改良に苦心したという。
量産化の体制を整え、本発売したのは24年の8月末のこと。スーパーやコンビニ、ECサイトなどで発売したところ、SNSでは「カロリーが低めでうれしい」「パッケージやネーミングがかわいい」といった声が集まるなど、好評を博した。
しかし、反響の大きさに対して「十分な量を用意できなかった」という課題感があるという。「『どこにも並んでない』『やっと見つけた』といった声も多くありました。まずは認知を広げ、いろいろなところに置いていただくことが目標です」(富岡氏)
5月30日からは、新たに「ピーチ&グレープフルーツ&グァバ」味も発売する。こちらは商品への調査で特に要望が多かった「桃」を採用しており、主力商品の「55ジャム」で若年層に人気の3フレーバーを合わせた。
今後も売り上げの拡大が見込まれる同商品。看板商品で蓄積された技術とブランドイメージを、巧みに生かした事例といえそうだ。
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