ラーメン業界が苦戦するなか、なぜ「油そば専門店」は成長しているのか(2/5 ページ)
帝国データバンクによると、2024年の「ラーメン店」の倒産は72件と過去最多に。そんななか、「油そば専門店」は好調のようだ。その要因を取材したところ……。
2008年頃から専門店が増え始めた
油そばは1950年代に誕生したとされ、東京都武蔵野市で1957年に開業した「珍珍亭(ちんちんてい)」は、油そば発祥の店として知られる。全国展開する油そば専門店の歴史をさかのぼってみると、2008〜10年の間に次々と開業していた。
東京油組総本店は、2008年に東京・赤坂見附に1号店をオープン。歌志軒は2010年に名古屋・昭和区福江に、ぶらぶらは2010年に東京・赤坂に(現在は閉店)、それぞれ1号店をオープンしている。
「2010年の開業当時、油そば専門店は関東に数店舗しかなく、油そばの認知度も低い状態でした。もともと、西東京のエリアで中華料理屋やラーメン屋のまかないとして提供されていたメニューのようです。2012年にぶらぶら横浜本店を開業したのですが、当時、横浜の住民は誰も油そばを知りませんでした」(関谷氏)
東京油組総本店を展開するサッポロ実業社(東京都豊島区)は、1983年創業でグループ内の製麺会社における麺業態を中心に成長を続けてきた背景がある。ラーメン、つけ麺と業態を広げ、2008年に油そば事業に参入。モチモチの自家製麺を強みとする。
歌志軒を展開するKAJIKEN社(名古屋市)も自社で製麺工場を立ち上げ、2017年から製麺事業も開始している。麺やタレへのこだわりのほか、人気アニメやアイドルとコラボしたキャンペーンを精力的に展開して集客につなげているようだ。
ぶらぶらの関谷氏は、30年ほど前にアルバイトをしていた割烹料理店で、まかないとして食べた油そばのおいしさが忘れられず、油そば専門店を開業したという。
「いろいろな店の油そばを食べ歩きましたが、満足する味に出会えず、みずから開発することにしました。最高級の鰹本枯れ節をふんだんに使った秘伝のかえしと数種類の高級油をブレンドした特製油、自社開発の特製中華麺で、脂っこさを感じない味に仕上げています。鶏だしのスープでシメる食べ方は、当社が発祥だと思います」(関谷氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜコナズ珈琲は3時間待ちでも人気なのか? “店づくり”の秘密に迫る
「いちばん近いハワイ」をコンセプトに掲げるハワイアン カフェ・レストラン「コナズ珈琲」の快進撃が続いている。全国に45店舗を構え、どの店も待ち時間が出る人気ぶり。好調の理由は……。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
バルミューダの「高級ホットプレート」なぜ人気? 発売1年で4万5000台突破のワケ
バルミューダのホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」が好調だ。4万円を超えるのに、なぜ人気なのか。担当者を取材したところ……。
大塚「おにぎり ぼんご」はなぜ人気なのか 休日は6時間待ち
JR大塚駅の北口から徒歩2分、老若男女から熱烈な支持を得る、おにぎり専門店「ぼんご」。平日は2時間以上、土曜や祝日は6時間ほどの待ち時間が発生する。何が人々をここまで魅了するのか。

