定年以降の「雇用継続」、どんな課題が残る? 2022年と比較して増えたのは
人手不足によって、定年後の雇用継続に注目が集まっている。各社で取り組みは進んでいるようだが、依然課題もあるようで……。
2025年4月から65歳までの継続雇用制度(再雇用・勤務延長制度)の義務化と、高年齢雇用継続給付の減額が実施される。
統合人事システム「COMPANY」を提供するWorks Human Intelligence(東京都港区)が実施した調査によると、70歳までの雇用機会確保(努力義務)について、40.8%の企業が「何もしていない」と回答した。
一方、28.6%は「65歳までの雇用確保(義務)への対応拡充を優先」と回答しており、2022年の前回調査と比べると24.3ポイント増加していた。雇用確保が2年間で進んでいることが明らかになった。
定年延長の取り組みについては、36.7%が「予定している」と回答。前回調査と比較して、10.6ポイント増加した。人手不足が続く中、経験豊富な従業員の確保が課題であると推察される。
定年以降の雇用継続、どんな課題が? 2022年と比較
定年以降の継続雇用における課題について、前回調査と比較して「適切な勤務体系の用意」の割合が16.8ポイント減少し、働きやすい環境の整備が進んだ。しかし、「対象者のモチベーション」「対象者の報酬水準」を課題として挙げた企業は半数を超えており、これらの課題は依然として残っていることが分かる。
Works Human Intelligenceは、報酬面の改善が求められている中「昇降給の導入や生活給の廃止など、個人ごとにメリハリをつけた対応が求められる」と指摘。
また報酬面以外では「定年年齢以前までのキャリア支援やスキルアップ支援が挙げられる。こういった支援は、若手層やマネジメント着任前後に偏っており、中高年層に対しては不足していることが多い。中高年層がキャリアを再評価する機会を早期に提供することが、シニア層のやりがいや満足感を高め、後々のモチベーション維持につながる」と分析している。
定年後の雇用継続における今後の取り組みとして最も多かったのは「継続雇用者の報酬水準の見直し」(40.8%)で、前回調査から14.7ポイント増加した。「特に変更予定はない」も30%超ではあるが、適切な報酬水準の設定が各社にとって重要な課題であることがうかがえる。
シニア層の活用方針については、前回調査と比較して「積極的に継続雇用・活用し、知見やスキルを業務に生かしてほしい」と回答した企業が13.8ポイント増加した。一方、「活躍が見込めるシニア層を継続雇用し、知見やスキルを業務に生かしてほしい」は減少しており、人手不足に加え、労働環境の整備が進み、シニア層の活用意識が高まっている実態がうかがえる。
Works Human Intelligenceは調査を踏まえ、「2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正から3年が経過し、2022年の前回調査と比較して高年齢者雇用継続に向けた労働環境の整備、シニア層の活用意識が全体的に進捗していることがうかがえる結果となった」とコメントした。
調査は、同社が提供する「COMPANY」のユーザーである国内大手法人49法人を対象にインターネットで実施した。期間は2024年11月8〜29日。
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