猛毒、性、暗闇……サンシャイン水族館の「トガり企画」に潜む生存戦略(1/4 ページ)
高層フロアに位置し、海に隣接もしていない。そんな民営水族館の「生存戦略」とは。
猛毒や性に関する展示など、一風変わった企画で知られる東京・池袋のサンシャイン水族館。3月14日から新たな特別展として「真夜中のいきもの展」が始まった。11月24日まで開催する。これまで常設の展示などでプッシュしたことがあったものの、特別展として暗い環境を好む生き物にフォーカスするのは初だという。
ここは一般的な水族館と異なり、高層フロアに位置し、海に隣接もしていない。また、補助金などもある「公営」と異なり、民営であることから自ら収益性を高める必要がある。そこで一種の生存戦略として、こうしたとがった企画の特別展を実施している。
国内で2匹だけ「超レア」生物を展示
真夜中のいきもの展では、暗闇をテーマにした展示スペースに、暗い環境を好む生き物を約20種類展示。中には鳥や昆虫など、水族館のイメージから離れたものもいる。
今回の企画について、飼育スタッフの三田優治さんは「今までの特別展は『知識』の側面が強かったのに対して、今回は『体験』的な要素を強めました。真夜中の海に潜ったり、森に踏み入れたり、日常生活にはない体験を味わえるような展示にしています」と話す。
三田さんの話す通り、展示スペースに踏み入れると、どことなく南国を思わせるようなあたたかさとともに薄暗い空間が出迎える。明るく風通しの良いエントランスとは全く違った、非日常な雰囲気が漂う。
今回の展示では、生き物を紹介するパネルに分類や解説文だけでなく「属性アイコン」を付記している。「夜行性」「発光」といった、それぞれの生き物が持つ特色とともに、生息域を表示することで、より分かりやすくした。
展示スペースは、森や海などを表現した複数のエリアに分かれている。入ってまず目を引くのは、大きな「スライゴオオサンショウウオ」だ。「チュウゴクオオサンショウウオ」の1種で世界最大の両生類とされ、普段は展示していない。
スライゴオオサンショウウオは近年絶滅したとされていた、希少な生き物だ。しかし、京都大学などの調査により、日本国内で飼育していたチュウゴクオオサンショウウオのうち、2匹がスライゴオオサンショウウオだったことが判明。そのうち1匹が、サンシャイン水族館で飼育していた個体だった。25年以上前から飼育していた個体だといい、あらためて今、注目を集めている。
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