なぜ企業は“遊びのプロ”に依頼するのか? ファミリー客を呼び込む「あそび場」の秘密(5/6 ページ)
「遊び場」を導入する企業が増えている。商業施設や競馬場、ボートレース場などで導入が進んでいるが、その背景に何があるのか。全国で3万5000カ所以上の遊び場を手がけるボーネルンド社を取材した。
欧米と日本の「遊び」に対する認識の違い
日本では「遊んでないで勉強しなさい」という考え方が今も根強く、「遊び」が「学び」の対立概念として捉えられがちだ。一方で、池上氏は「遊びこそが学びの源泉」だと指摘する。
遊びとは自分でやりたいと思った「内発的動機付け」の積み重ねであり、これが主体性を育み、結果として本質的な学びにつながるという。
知育玩具が発展する欧米では、遊びの本質的価値への理解が社会に浸透しており、子どもに質の高い道具を提供する文化が根付いている。それに対し、日本では「偏差値が上がる」「頭が良くなる」といった実利的な価値で知育玩具が売られる傾向があるという。
ボーネルンドはそうしたアプローチではなく、子ども自身が興味を持って深く掘り下げられる「遊び道具」の提供にこだわっている。
同社は、子どもだけでなく高齢者向けの取り組みも始めた。UR都市機構と連携し、集合住宅の屋外空間に従来の「動かない遊具」ではなく、体を動かしたくなるような「可動するフィットネス器具」を導入した。
高齢者が外出して体を動かすことで健康寿命が伸び、社会全体のウェルビーングにつながる。子どもから大人、高齢者まですべての世代が健康で楽しく暮らせる環境への仕掛けづくりが始まっている。
また、新たな取り組みとして、2025年4月には「グラングリーン大阪」(大阪市)に小学生を対象としたフリースクールやカフェなどを含む280坪の複合施設を開設する。ここでは、親世代を対象とした「大人の座談会」も実施するなど、学びの場を提供する予定だ。
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