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コールセンターはどう進化する? AI時代にオペレーターに求められるスキルとは「音声×AI」が変えるビジネスの未来(2/3 ページ)

今回は、企業がAIを活用してカスハラ対策を進める上でのポイントを整理し、未来のコールセンターの在り方について考察します。

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AI活用へ企業と顧客が変えないといけないこと

 AIを顧客対応に活用するためには、企業と顧客双方の意識を変える必要があります。

 企業は業務の効率化や顧客対応の最適化のためにAI活用を進めていますが、AIに対する社会的な信頼はまだ十分ではありません。特に顧客対応にAIを活用するためには、信頼性を高める取り組みや期待値の調整が不可欠です。

 例えば、今となっては当たり前のように使われているETCも、普及のために専用カードの発行や車両への設置といった環境整備が必要でした。開始から20年が経過した今でも、完全にETCのみにはなっていませんが、多くの人がその利便性を理解し、利用が進んでいます。AIも同様に、社会全体での理解を深め、受け入れるための意識改革が求められます。

 まず、企業は顧客が快適にAIサービスを利用できるようにインフラを整備する必要があります。AI技術は高品質なネットワークを基盤に動作します。安定した通信インフラが整うことで、リアルタイムの処理が可能となり、AIのパフォーマンスを最大化できます。また、効率を上げるためには自動化システムの導入が不可欠です。自動化により、業務スピードの向上・エラーの減少が見込まれ、従業員の負担が軽減されます。

 次に、AIを活用したサービスを浸透させるには、顧客自身が自動化による対応を理解し、新しい顧客体験に適応することが重要です。顧客がAIによる顧客対応のメリットを理解し、AIに対する期待値を適切に調整できるよう、企業はAIの対応範囲や利用のメリットを提示することで、顧客はより快適なサービス利用が可能になります。

 AIの普及には、技術の進化だけでなく、社会全体の意識改革と環境整備が必要です。

AI時代にオペレーターに求められるスキル

 AIの活用が進んでも、オペレーターの対応力が重要であることに変わりはありません。適切な対応スキルを身につけることで、カスハラの被害を最小限に抑え、顧客との円滑な関係を築くことが可能になります。

エスカレーション力

 対応が困難な場合、上司や専門部署に迅速に相談し、適切な判断を仰ぐことで、トラブルの深刻化を防ぐことができます。

共感力

 顧客の不満に共感を示し、誠実に対応することで、クレームのエスカレートを防げます。顧客に自分の意見を理解してくれていると感じさせることで、円滑な対応が可能となります。

期待値調整

 顧客に対して初めに期待値を調整することで、不満が生じる可能性を減らせます。特に価格やサービス範囲を具体的に伝えることが重要です。顧客の期待を管理することは、トラブルを未然に防ぐ基本です。

交渉力

 カスハラが発生した状況下では、冷静で公正な交渉力が求められます。相手の要求を把握し、適切に応えることで円満な解決を図るスキルが必要です。

ストレスマネジメント

 心理的負担を和らげ、健全なメンタルを維持するためのストレス管理が重要です。これにより、長期的な業務遂行が可能となります。

 上記のようなスキルをオペレーターが身につけることができるよう、第2回で紹介したクレーム分析によるマニュアルや研修内容の見直しを行うことで、カスハラの発生を抑えられます。また、ヘルプサイン機能や録音、文字起こし機能などの防護ツールを導入することで、従業員の安心感を向上させ、安全な接客環境を整えることができます。

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