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上場企業で相次ぐ「優待操作」? 投資家の怒り買う「幻の株主優待」の実態(4/5 ページ)
上場企業で、魅力的な株主優待が発表されたものの、一度も実施されることなく廃止となる動きが出ている。
東証・金融庁はどう対応するべきか
優待の廃止自体は企業の裁量の範囲内だが、投資家保護の観点からは説明責任と透明性の確保が強く求められる。一方で、明確な違法行為が立証されない限り、金融商品取引法による摘発や行政指導に至るケースは少ない。
こうしたグレーゾーンの行為が繰り返されれば、個人投資家が優待銘柄への投資にますます慎重になる懸念がある。せっかく新NISAなどで「貯蓄から投資へ」の流れが広がりつつあるなか、不信感による投資離れが進めば、資本市場全体にもマイナスに働くだろう。
明らかな株価操作や虚偽表示があった場合、金融商品取引法などによって処罰対象となる。しかし、事前に優待を実施するつもりがなかったという証拠がない限り、現時点では摘発や行政措置に至る可能性は低い。
投資家保護の観点から、上記のようなグレーゾーンをどのように把握・監視するかに注目したい。
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