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『ワンピース』放送枠、なぜ「日曜深夜」に? コンテンツ戦略の深いワケ:エンタメ×ビジネスを科学する(3/3 ページ)
ワンピースの放送時間が、日曜朝から夜に変更となる。一見わずかな変更に思えるが、その裏にはメディア環境やコンテンツ戦略の変化があった。
新たなメディアミックスの形
ワンピースに話を戻そう。本作品に特化して述べると、長年続いてきた日曜朝のテレビ放送という日常に溶け込んだ体験から、日曜夜のテレビ放送と月曜更新の「少年ジャンプ+」を連動させた「週に一度の非日常体験」へと変化させ、物語のクライマックスに向けた熱量向上を図る狙いが見て取れる。
これは単なる時間変更にとどまらない。アニメ放送と原作漫画の配信を時間的に近接させることは、ファンの熱量を維持したまま両メディアを横断させ、相互に盛り上げることが可能となる。視聴者は日曜夜にアニメを楽しんだ直後、その余韻が冷めないうちに原作最新話を読むことができる。この連続性が生む没入感と高揚感は、従来のメディアミックスにはない新たな体験といえるのではないか。
さらに、SNS上での同時視聴による盛り上がりと、原作へのシームレスな接続は、コミュニティ形成にも一役買う。「みんなで同時に見て、すぐに次を読む」という共通体験が、作品への帰属意識を高め、ファン同士の絆を深める効果も期待できる。
この試みが成功すれば、メディアミックスにおける新たな手法として、他の人気作品にも波及していく可能性がある。アニメ放送の時間帯変更という一見細かな出来事の先には、新たなファンの熱量増加、コンテンツマーケティングの新手法があるのかもしれない。
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