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「宗教ではなく文化を築く」 Shake Shackの親会社が従業員の体験を重視するこれだけの理由

シェイクシャックの創業者ダニー・マイヤー氏は、顧客体験は従業員体験と密接に関連していると述べる。従業員が幸せでない限り、顧客に良い体験を提供することは難しいとし、強いチームワークを重視。

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HR Dive

 3月19日、米ユタ州ソルトレイクシティで開催されたQualtrics X4カンファレンスの基調講演において、Shake Shack(シェイク・シャック)の創業者であり、米Union Square Hospitality Group(ユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループ)の創設者でもあるダニー・マイヤー氏は「カスタマーエクスペリエンス(CX)は従業員の体験と直接関係している」と語った。

従業員は会社にとって「最初の顧客」 最強のチームを作る方法

 「従業員が満足していなければ、その影響は顧客にまで波及する」とマイヤー氏は述べ、「従業員こそが、私たちにとって最初の顧客である」と強調した。

 マイヤー氏によれば、従業員が仕事を楽しんでいなければ、顧客も継続的に良い体験を得ることは難しい。不満を抱えたレストラン従業員でも、一時的には愛想よく振る舞い、1〜2回の接客をこなすことはできるかもしれない。しかし、長期的に一貫した良質なサービスを提供するには、「自分の仕事を心から楽しんでいること、そして共に働く仲間を尊敬し、信頼していること」が不可欠だという。

 「何度も来店してくれるお客さまにとって、体験の質は、その店のチームがどれほど仕事や同僚に対して情熱を持っているかに直接結びついている」とマイヤー氏は語った。

 強固なチームは、お互いから学び、尊重し合い、信頼を築く。このような環境が整えば、従業員は最高のパフォーマンスを発揮し、その結果として顧客もそれを感じ取ることができるのだ。

 また、給与や昇進も重要な要素である。マイヤー氏は「従業員を大切にする最も直接的な方法は、昇給と昇進の機会を提供することだ」と述べた。ただし、こうした投資を行うには株主の理解と支持が必要であり、それがまた「好循環(Virtuous Cycle)」を生み出す。

従業員は経営者のために働いているわけではない

 なお、経営層が従業員の体験を直接管理しようとするのは得策ではないとも指摘する。「経営者にできる最も効果的なことは、従業員同士がどのようにケアし合うかについて責任を持たせることだ」と語った。

 「従業員はダニー・マイヤーのために働いているわけではない。レストランのためでもない。彼らは、信頼し合い、成長できるチームの一員になるために働いているのだ」とマイヤー氏は述べた。

「カルト宗教」ではなく「文化」を築く

 経営層が日々の従業員体験を直接管理することはないが、組織文化を作ることで、マネジャーやスタッフの間に仲間意識を醸成することは可能である。

 レストランチェーンにおいて、顧客がどこで食事をしても同じ体験を得られるようにすること、そして従業員がどの店舗で働いても同じ環境を感じられるようにすることは、決して簡単なことではない。しかし、それは可能だとマイヤー氏は述べる。その鍵となるのが、「共通言語」だ。

 マイヤー氏はこれを「文化を形成するためのレンガの間を埋めるモルタル(接着剤)」と表現する。

 共通言語を持つことで、組織の目標が明確になり、従業員同士の意思疎通がスムーズになる。また、従業員が組織の一員としての帰属意識を持つことで、その意識は顧客にも伝わる。

 「人は“所属したい”という欲求を持っている」とマイヤー氏は語る。「従業員が“ここに属している”と感じ、顧客も“ここに属している”と感じる。さらに、コミュニティーもその店を“自分たちの一部”だと感じられたとき、そこには魔法のような体験が生まれる」


(HR DIVEより)

 ただし、マイヤー氏は「その帰属意識が“カルト宗教的”になってはいけない」と警鐘を鳴らす。ユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループの各レストランでは、異なるバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用している。しかし、彼らに共通しているのは、「ホスピタリティを大切にする」という信念だ。

 「私たちが目指すのは、“文化”であって“カルト”ではない」とマイヤー氏は強調した。

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