ドンキの後輪だけ“絶対に”パンクしない自転車 担当者が着目した「3倍」の数字:プロダクトInsights
ドン・キホーテ(東京都目黒区)は3月15日、オリジナルブランド「情熱価格」から、後輪だけ“絶対にパンクしない”自転車「リアゼロ」(希望小売価格3万2978円)を発売した。自転車ユーザー共通の悩みである「パンク」の、ある特性に着目して開発したという。
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日々リリースされる新しい商品やサービスたち。その商品やサービスには、必ず企業側の思惑や狙い、生活者のニーズ、時代の空気感が反映されている。本シリーズでは、これらの「Insight」を考察していく。
ドン・キホーテ(東京都目黒区)は3月15日、オリジナルブランド「情熱価格」から、後輪だけ“絶対にパンクしない”自転車「リアゼロ」(希望小売価格3万2978円)を発売した。担当者の渡邊啓氏(PB企画開発)によると、自転車ユーザー共通の悩みである「パンク」の、ある特性に着目して開発したという。
リアゼロのサイズは27.5インチ。全長は1835ミリで、サドルの高さは約800〜900ミリとした。カラーはマットスモーキーブルーとマットグレーの2種類を用意した。
同社では以前から、パンクしないタイヤ=ノーパンクタイヤを使用した自転車の商品化を検討していたが、コストが課題となっていた。「ノーパンクタイヤを前後両輪に装備すると、価格が4万円台となってしまいます。弊社はディスカウントストアですので、購入しやすい価格にする必要がありました」(渡邊氏)
そこで渡邊氏が着目したのが、「実際にパンクが起こるのは、後輪であることが多い」という点だ。「自転車の修理データを調査したところ、前輪のパンクが1件発生するのに対し後輪は約3件と、3倍の頻度でパンクが発生していることが分りました」と渡邊氏。自転車の重心位置は後ろにあり、走行中に異物を踏んだ際、より大きな負荷がかかってしまうからだという。
渡邊氏はこの特性を生かし、「後輪はノーパンクタイヤ、前輪はノーマルのワイドタイヤ」とする方法を採用。高単価なノーパンクタイヤを後輪のみにしたことで、一般的な両輪ノーパンクタイヤ自転車の相場より約3割の価格カットを実現し、約3万円で商品化が可能となった。
リアゼロには、オートライトも標準装備している。自転車のライトには、タイヤが回るときに発電する「ブロックダイナモ」という方式もある。しかし、ブロックダイナモはペダルが重くなるデメリットがあり、乗り心地を優先してオートライトを採用したそうだ。
同じ価格帯の自転車の年間販売台数は1200台ほどだが、リアゼロの販売目標は年間2400台とした。リアゼロは消費者の支持を得られるか。
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