インタビュー
なぜ扉なしで冷暖房が効くの? パナの駅ブースが変える“待ち時間”の常識(1/3 ページ)
パナソニックが大阪メトロと共同で、扉なしでも冷暖房効果を保つ「前面開放型 駅待合ブース」の実証実験を開始した。特徴は……。
パナソニックは、日本初の前面開放型「駅待合ブース」の実証実験を朝潮橋駅(大阪市)で開始した。大阪メトロと共同で、2月から9月まで実施する。
本実験では、扉のない開放空間でも冷暖房効果を維持しつつ、個室型の駅待合室に比べて奥行を約50%削減するなど、熱中症対策と混雑緩和の両立を目指している。背景と狙いを聞いた。
開発の背景は「インバウンド」と「猛暑」
前面開放型の「駅待合ブース」を開発した背景には、人流の変化がある。大阪観光局によると、インバウンド(訪日客数)が過去最高を更新し、今後も増加が見込まれているという。
そこで、大阪・関西万博会場の最寄り駅(夢洲駅)から3駅と近く、人流の増加が見込まれ、スペースも確保しやすいことから、大阪メトロ中央線の朝潮橋駅が実験場所に選ばれた。
また、気候変動により猛暑日の発生頻度が増加した影響も大きい。「屋外駅では安全上の観点から日傘を差せないため、熱中症対策が重要だ」と、開発を担当したパナソニック空質空調社の須藤良太さんは語る。
こうした状況の中、各鉄道会社も対策の必要性を認識しているが、ホームにある既存の個室型待合室は増加する人流により通行の妨げになるなど、課題も多い。実際に大阪メトロでも、大阪・関西万博による混雑が予想される中央線弁天町駅では、2025年1月から2026年3月末まで待合室とベンチの撤去を予定している。
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