2015年7月27日以前の記事
検索
連載

なぜ“おすそ分け”可能に? 「Switch2」から見える、任天堂のDNA(3/4 ページ)

新たなゲーム機に込められた任天堂社の思い・狙いとは何か。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

「おすそわけ通信」から分かること

 2点目は「バーチャルゲームカード」である。本機能はSwitch2の発売に先駆け、2025年4月下旬からNintendo Switch向けに導入される。バーチャルゲームカードはダウンロードしたソフトを物理カードのように管理するシステムである。ダウンロード販売の普及により不可能となった「ゲームソフトの貸し借り」を公式の手段として提供するものと言い換えられる。Nintendo Switchシリーズは据え置き型ゲーム機でありながら、携帯ゲーム機としての側面も持ち、親子または兄弟姉妹で1台ずつ保有しているケースも少なくない。本機能により、例えば親がデジタル購入したゲームを子どもの端末へ貸し出すことが可能になる。


「バーチャルカードゲーム」機能で、ダウンロードソフトであっても貸し借りが可能に

 3点目は「おすそわけ通信」である。これは、SwitchまたはSwitch2本体を持ち寄り、対応ソフトを所有している端末が一つあれば、そこから他端末に対してゲームを「おすそわけ」し、一緒にゲームをプレーできる機能である。

 Switch2に限っては「ゲームチャット」の参加者に限定することでインターネットを通じた「おすそわけ通信」も可能となる。

 これらの3点から見えてくるのが、創業期から続く娯楽の形態をデジタル時代に適合させた形で再構築しようという意図である。親が購入したソフトを子の端末に貸与する、ソフトを所有している友達の家に集まり会話しながら楽しむ。更にさかのぼれば花札やトランプ、カルタを所有している家庭に集まり遊びに興じるといった、人と人が「娯楽」を通じてつながることを、現代の環境・ツールにあわせて実現させようとする試みといえる。

 生活形態の変化にあわせ、デジタルの世に対応しながらもアナログの接点の良さを残す、日本の娯楽を130年に渡り観測し続けた同社ならではの取り組みといえる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る