2015年7月27日以前の記事
検索
連載

人材難にあえぐ中小企業、どう戦うべき? 「年収上限」「諸手当」について考える人材獲得 大競争時代(2/2 ページ)

中小企業は社外の人材にいかに賃金を提示しているのか。転職者のデータ分析や、採用に成功した企業の事例を通じて、明らかにしていく。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

「手当」で支給額の上乗せを図る企業も

 転職エージェントとして企業と対話していると、賃金に対するさまざまな施策を耳にしますが、「手当」を整備する企業も多数あります。例えば「物価上昇手当」「調整手当」「住居手当」など、さまざまな名称で手当を新設する動きがあります。

 こうした「手当」を、新規採用者に適用するケースも見られます。市場価値が高い人材を獲得するためには魅力的な賃金を示す必要がありますが、既存の賃金テーブルには当てはめられないことも多いものです。そこで、既存社員の賃金とのバランス調整に工夫を凝らしているのです。労働市場の変化に対応するため、報酬制度を刷新するには、時間がかかります。そこで、「手当」の名目で支給することにより、スピーディーに市場の報酬相場との調整を図っているのです。

 ただ、中長期的には、賃金テーブルの見直しのほか、財源となる利益の確保が必要となるでしょう。

 これまで本連載では、企業にとって重要な取り組みとして、「業界や社外の賃金水準の把握」「社内外の状況に応じた定期的な賃金・報酬水準の見直し」「ITを活用した生産性の向上」などを挙げてきました。これらは当然ながら中小企業にも共通して必要な施策であり、人材の定着や採用をめぐる課題の改善につながる可能性があります。

 利益を確保し、賃金を上げ、人材の獲得や社員のモチベーションアップを実現――というサイクルを生み出すために、さらなる生産性の向上や、大胆なビジネスモデルの変革が重要です。それを推進できる人材が社内にいないのであれば、外部から迎えることを検討してもいいでしょう。

 社内で登用するにせよ、外部から採用するにせよ、自社の成長につながる施策を推進できる人材に対しては、その仕事の価値の大きさにふさわしい賃金を示していくことが求められています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る