「カシオのもふもふロボ」初回分は完売 担当者に聞いた開発の舞台裏:AIペットロボット「モフリン」(2/3 ページ)
カシオ計算機のAIペットロボット「Moflin(モフリン)」が好調だ。開発の背景や狙い、こだわったポイントなどを聞いた。
こだわったモフリンの世界観
その後、同一組織になったこともあり、双方で意気投合。モフリンの開発が進んでいった。
モフリンは独自開発した感情AIを搭載しているほか、毛並みや手触り、動きや鳴き声など、これまでにない特徴を持つペットロボットとして開発している。カシオとしてはこれまでの製品開発で培ってきた技術力が生かせている一方、開発過程では従来とは異なる工程やこだわりも取り入れている。
その1つが、「感性評価」を加えたことだ。個人の感覚が伴う感性評価をどう判断するかについては議論もあったが、既存商品にはないモフリンならではの評価項目を加えている。「触ったときの反応やフォルムをかわいいと感じるかどうかについても、一人の意見に頼らず、社内でアンケートを取りながら進めていった」(市川さん)
またモフリンならではの世界観を大切にするため、言葉選びにもこだわっている。「ユーザー=飼い主」「修理=入院」「記録の復元=蘇り」など、機械らしい表現はあえて避け、分かりやすさも重視しつつ、他部署とも調整を重ねたという。
サポート面では、シャンプー&ブロウ(クリーニング)サービスの導入も、こだわったポイントとなる。例えば、汚れた部分は交換すれば新しくできるが、モフリンには毛並みや目の位置など、個体差があるため、あえてクリーニングという方法を取っている。小型ロボットのクリーニングサービスは、初めての取り組みだったので、まずは導入するかしないかも含めて調査を行いながら進めていった。
開発観点では、他の生物を思い浮かべない、新しい生き物感を出すようにしているという。「飼い主にすり寄るようなしぐさに加え、手で触った際の感覚についても、わたを詰めるのではなく、あえて骨格を感じさせるような質感にするなど、モフリンの世界観に合わせて調整を重ねている」(二村さん)
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