40周年「シャウエッセン」が売れ続けるワケ 好調の裏にあった「掟」と挑戦:老舗ブランドの戦略(2/4 ページ)
2025年2月に発売40周年を迎えた日本ハムの人気ウインナーブランド「シャウエッセン」。近年強化してきた取り組みや同社が分析する人気の理由を聞いた。
約40年間で起きた課題
これらの特徴やこだわりは、基本的に約40年間変えていない。一方で変わったのが、メインの顧客層の年齢だ。
当時、一般的なウインナーと比較して高価格帯だった粗挽きウインナーのシャウエッセンは、店頭の試食販売を強化することで世の中に浸透していった歴史がある。その際、ファンになった顧客層がそのまま40年経ち、高齢化して現在は60〜70代となった。同社としても「次の世代を取り込まないとシャウエッセンのファンがいなくなってしまう危機感が長年あった」という。
そこで発売35年目あたりからシャウエッセンブランドとして改革に着手した。長年、公式としては禁止していた電子レンジ調理を解禁したほか、若年層を取り込むための商品開発や取り組みを強化した。ちなみに、同社が定める若年層とは、シャウエッセンの主な販売場所であるスーパーの顧客における若年層で、30〜40代を示す。
味や形、プロモーションを変えた新商品を発売
2019年には、発売35年目にして初の新テイスト「禁断の旨辛 シャウエッセンホットチリ」やチーズ味の「シャウエッセンチェダー&カマンベール」を期間限定で発売。その後もハムのような形状の「クイックパック シャウスライス」や、常温で保存できるサラミ風の「ドライシャウ」など、味や形に変化をつけたさまざまな新商品を投入した。
さらに大きな変化のひとつとして、2022年には包装を旧来の巾着型パッケージから長方形へ変更した。巾着型の袋の上部を力士のちょんまげに見立てた「断髪式」のプロモーション動画は、SNSなどで話題になった。
直近では、2024年10月に濃厚スパイスな味わいを特徴とした、シャウエッセン初の“夕食”向け商品「シャウエッセン 夜味」を発売。味だけでなく、食シーンの提案にも力を入れた新たな試みの商品となっている。
これまで推奨してきたボイル調理に代えて、初めて「焼き調理」を推奨したほか、プロモーションも既存の広告宣伝手法とは異なる、顧客との双方向コミュニケーションを意識して展開したという。
「近年は必要な情報、興味のある情報だけを取り入れたい『タイパ』思考の若年層が多い。テレビCMなどを活用した一方向のコミュニケーションは従来の顧客向けに引き続き展開しながら、双方向で参加できるコミュニケーションも取り込むことで次世代ユーザーを取り込むことにも力を入れている」
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