40周年「シャウエッセン」が売れ続けるワケ 好調の裏にあった「掟」と挑戦:老舗ブランドの戦略(3/4 ページ)
2025年2月に発売40周年を迎えた日本ハムの人気ウインナーブランド「シャウエッセン」。近年強化してきた取り組みや同社が分析する人気の理由を聞いた。
発売40年目に新プロジェクトも始動
発売40年目を迎えた2024年には、新しいシャウエッセンに生まれ変わることを宣言した「#ちゃうエッセン」プロジェクトも始動。2030年に売り上げ1000億円を目指す流れの中で、日本の食卓を笑顔にし、そのおいしさを届けるため従来のシャウエッセンとは違う「ちゃうエッセン」を合言葉に、あえて枠組みを超えたチャレンジを展開している。
プロジェクト第1弾では、シャウエッセンが実は食卓だけでなく、さまざまな飲食店でも愛用されていた事実に注目。「食卓だけちゃう名店の味」をコンセプトに、全国に眠る「シャウ名店」を募集し、採用された人には「シャウエッセン約1年分」や「リアルすぎるシャウペン」をプレゼントする企画を実施した。
同じく発売40年目の2024年5月には、無料で会員登録が可能なシャウエッセンのファンサイト「シャウエッセンファンサイト(SCHAU ESSEN FANSITE)」を開設。サイト内では会員になったファンを「シャウ員」と呼び、シャウエッセンを食べた感想やおすすめのレシピなどについて、シャウ員同士や日本ハム社員と交流ができるようになっている。
会員数は2025年4月時点で1100人以上、性別では女性が多い。「近年の広告宣伝のあり方としても、顧客自らの発話によって話題が広がる流れがある。ファンとの双方向のコミュニケーションを通じて、今後の商品開発にも生かしていきたい。
「変わる」ことへの社内の反発は?
さまざまな変化や挑戦を続ける中で、社内からの反発はなかったのだろうか。実は同社では、シャウエッセンが巨大ブランドで発売当時から非常に大事にされてきたがゆえに「掟(おきて)のようなもの」があったという。
「味を変えてはいけない。切ってはいけない。焼いてはいけない。そういうものが暗黙の掟になっていて、シャウエッセンの定義から一切外れてはいけない。外れるとブランド毀損(きそん)になるという極度の恐れがあり、改革を行うまでの約35年間変えられなかった」
巨大ブランドであるがゆえに、顧客の期待を裏切るような味を出したり、ブランドに傷がつくような変更をしてはいけない、といった長い歴史があったようだ。
一方で「顧客の高齢化」といった大きな課題もあるため、発売35年目を境にさまざまなチャレンジを開始。特に長年掟に沿っておいしいシャウエッセンをつくり続けてきた工場側からは懸念の声が挙がったが、丁寧に説明を重ねることで納得してもらったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「ゲオのスウェット 658円」の衝撃 ペラペラなのに、なぜ「週に1万着」も売れるのか
DVDやCDをレンタルできる「ゲオ」の店内は、どうなっているのか。レンタル事業は縮小しているので、店内はテレビやゲームなどが並んでいるが、そんな中で「スウェット」が人気だという。その理由は……。
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
かつて「街のにぎわいの中心地」ともいわれたイオンモールでも、近年は「安泰」ではない状況になっている。少子化が進む日本で大型ショッピングセンターが生き残る鍵は――。
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
ドリップもサイフォンも、これ1台で実現 タイガー「毎日飲みたくなるコーヒー」開発の舞台裏
コーヒーの淹れ方には「透過式」と「浸漬式」があるが、1台で両方を可能にしたコーヒーメーカーが登場した。タイガー魔法瓶の「HYBRID BREW」だ。担当者に開発の舞台裏を聞いた。


