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なぜ旅館は「1泊2食付き」を続けるのか 観光地の夜が静まり返る本当の理由:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
「1泊2食付き」から「朝食のみ」や「素泊まり」へと転換する事業者が増えている。日本の観光ビジネスにとって良い兆しだが、なぜかというと……。
日本にとって明るい兆しといえるワケ
さて、このようなビジネストレンドを聞いて、皆さんはどう感じるだろうか。
「日本の旅館の魅力といえば、やはりそれぞれの宿が趣向を凝らした料理なので、それが減っていくのは寂しい」と否定的に見る人も多いだろう。あるいは、「このままいけば日本の昔ながらの旅館のいいところが消えてしまうのではないか」と日本文化の衰退を危惧する人もいるかもしれない。
いろいろな意見があるだろうが、この「泊食分離」と呼ばれる取り組みは、日本の観光業界のプラスになると考えている。実際、人手不足や売り上げ低迷に苦しむ宿泊施設や、しなびた観光地を「再生」させるための手段として一部で注目を集めている。
- 泊食分離、人手不足に解 「夕食は外」広がる(日本経済新聞 2024年10月19日)
- 温泉旅館が25年間でほぼ半減「泊食分離」絶品料理でニッポンの危機を救う!(テレビ東京『ガイアの夜明け』 2024年1月12日)
断っておくが、「1泊2食付き宿」が悪いとか時代遅れだと言っているわけではない。観光ビジネスというのは「多様性」が大事だ。国内外からさまざまな背景・趣向を持つ人々がやって来るのだから、「1泊2食付」以外にも「朝食のみ」や「素泊まり」という宿がもっとあっていいのだ。
そこに加えて、「泊食分離」が普及すれば、日本の観光ビジネスを衰退させてきた構造的問題も改善されていく。その問題とは、一言でいえばこうなる。
「旅館が宿泊客を囲い込めば囲い込むほど、周辺の観光地が衰退していく」
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