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なぜ旅館は「1泊2食付き」を続けるのか 観光地の夜が静まり返る本当の理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
「1泊2食付き」から「朝食のみ」や「素泊まり」へと転換する事業者が増えている。日本の観光ビジネスにとって良い兆しだが、なぜかというと……。
「夜」が静かな日本の観光地
世界中から観光客が集い、大きな観光収益を上げているハワイのワイキキ、あるいはタイのバンコクなどは「夜」も賑(にぎ)やかだ。レストランやバー、クラブだけではなく、さまざまなショーやナイトツアーもある。「ナイトタイムエコノミー」という巨大産業が多くの雇用を生み出している。
しかし、日本の有名観光地は基本的に「夜」は寂しい。昼間はスイーツやカフェに行列ができる箱根や熱海といった有名観光地も、夜に歩いてみると明かりがついているのはスナックやバーなどで、レストランは思いのほか早く閉まり、温泉街はひっそりと静まり返る。
なぜこうなるかというと、観光客が「1泊2食付き宿」に泊まっているからだ。
海外の有名観光地のホテルは「素泊まり」が基本だ。だから部屋や館内でゆったり時間を過ごすだけではなく、ホテル周辺や街に出掛けてグルメや観光を楽しむスタイルが一般的だ。
しかし、日本の旅館や温泉宿に宿泊する人は基本、夕飯を「外」で食べない。もちろん、食後に街へ繰り出す人もいるが、懐石フルコースで腹一杯なので、バーやスナックで酒を飲むくらいだ。
しかも、これが高級旅館となると、 高い宿泊費を払っているので、寝るだけではもったいないという意識が働く。翌朝のチェックアウトまで温泉や施設を堪能するので、なおさら温泉街や付近の繁華街に足が向かない。そうなると、その地域の観光ビジネスがじわじわと廃れていくのは説明の必要がないだろう。
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