「校務DX」導入に足踏み 6割の自治体が「未着手」(2/2 ページ)
文部科学省が推進する「校務DX」の導入は、まだ1割止まり――。「校務DXに向けたICT整備動向調査」で明らかになった。
校務支援システムの利用率 3位「内田洋行」、2位「スズキ教育ソフト」、1位は?
校務支援システムの利用率については、1位が「EDUCOM」(33%)、2位が「スズキ教育ソフト」(27%)、3位が「内田洋行」(8%)となった。直近では、ベンダー各社から次世代校務DXに対応したSaaS型新製品のリリースが相次いでいるほか、新規参入ベンダーも複数現れるなど、校務支援システム市場が活発化している。
学習eポータルについては、1位が「NTTコミュニケーションズ」(45%)、2位が「内田洋行」(36%)、3位が「オンライン学習システム推進コンソーシアム」(7%)だった。
汎用クラウドや生徒の端末管理をするMDM(モバイルデバイス管理)など端末に関連するソフトウェアについては、「Google」と「Microsoft」の利用率が高かった。また、教員用の汎用クラウドでは、「Google Workspace」の採用が進み、Microsoftが独占していた環境から多様化が加速している。
今後導入が進む「ダッシュボード」については、1位が「Google」(35%)、2位が「NTTコミュニケーションズ」(31%)、3位が「デジタルアーツ」(15%)となり、異なる領域のベンダーが並んだ。デジタル教材の学習履歴、汎用クラウドのログイン状況など、可視化するデータや目的が多様なため、自治体は試行錯誤しながら最適な運用を模索している。
校務における生成AIの利用率については、自治体ベースでの導入率は17%だった。直近2年間で数%から10%程度の利用率で推移しており、着実に普及が進んでいる。
生成AIの利用ツールについては、「Google」(46%)が最も多く、次いで「ChatGPT」(42%)、「Microsoft Copilot」(34%)が続いた。国内ベンダーの名前は挙がらず、外資系ベンダーが存在感を強めている。
調査は、全国の市区町村1741の教育委員会を対象に、電話アンケートを実施した。調査期間は2025年2〜3月まで。
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