「公益通報」と「ハラスメント」、企業は相談窓口を分けるべき 線引きの理由を解説(1/3 ページ)
兵庫県やフジテレビなどの問題を通じて、注目が集まる公益通報者保護制度。3月4日には、公益通報者保護法の一部を改正する法案が閣議決定され、1年半以内に施行されることになりました。法改正の概要やハラスメント対策との違いについて解説します。
兵庫県やフジテレビなどの問題を通じて、公益通報者保護制度について多くのメディアが取り上げています。3月4日には、公益通報者保護法の一部を改正する法案が閣議決定され、1年半以内に施行されることになりました。
公益通報保護法は、2006年の施行からすでに20年近くが経過しています。しかし、内部告発(公益通報)を通じて事業者の法令順守を促す法の趣旨を理解している人は少ないのではないでしょうか。今回は法改正の概要やハラスメント対策との違いについて解説します。
知っているようで知らない 公益通報法者保護制度って?
そもそも公益通報法者保護制度はどんな制度でしょうか? 厚生労働省の公式Webサイトには次のように記されています。
公益通報者保護制度は、国民生活の安心や安全を脅かすことになる事業者の法令違反の発生と被害の防止を図る観点から、公益のために事業者の法令違反行為を通報した事業者内部の労働者に対する解雇等の不利益な取扱いを禁止するものです。
食品の成分を偽装したり、車の安全対策を省略したりすれば、一時的に企業の利益が上がる代わりに国民生活の安全が脅かされます。そうした状況を防ぐため、公益通報者保護制度では、勤務先や取引先の不正行為を通報した労働者や役員を保護し、通報者への不当な扱いを禁止しています。公益通報者の保護と法令の規定の順守のために必要な措置などについて定めたられたのが公益通報保護法です。従業員が300人を超える企業では、公益制度に対する体制を整備することが義務付けられ、内部通報窓口の設置や通報事案に対処しなければなりません。
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