キムタク、長澤まさみ、横浜流星、羽生結弦――なぜ中国ブランドは国民的スターに頼るのか:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
ここ数年、人気芸能人が中国メーカーのCMに出演する機会が増えている。なぜ中国企業は日本のCMに「分かりやすいスター」を起用するのか。その理由は……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
木村拓哉、長澤まさみ、横浜流星、そして羽生結弦……この豪華な顔ぶれを見て皆さんは何を思うだろうか。
「もしかして東野圭吾原作の新作映画の主要キャスト?」と色めき立つ人もいらっしゃるだろうが、そうではない。彼らは中国企業ブランドの「顔」として活躍している方たちだ。
木村拓哉さんは通信機器で世界トップシェアを誇るファーウェイ(華為技術)の日本法人、ファーウェイ・ジャパンが発売したスマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」のWeb広告に出演。ゴルフ、登山、ランニングと何をしても「格好いいキムタク」のキービジュアルが東京・渋谷駅や家電量販店に並んでいるので、ご覧になった方も多いだろう。
長澤まさみさんは今や事業規模でテスラを上回り、日本にも高性能な「軽EV」を投入すると話題になっているBYD Auto(比亜迪汽車)の日本法人、BYD Auto JapanのブランドCMに2024年より出演。好感度抜群の人気俳優に「ありかも、BYD!」と微笑みかけられ、「ぜんぜんアリです!」と ハートを射抜かれたおじさんも多いはずだ。
そして、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で主演を務める横浜流星さんは、韓国のサムスン電子に次ぐ世界第2位のテレビメーカー、ハイセンス(海信集団)のブランドアンバサダーを2024年から務めており、さまざまな広告で爽やかな笑顔を見せている。
フィギュアスケーターの羽生結弦さんは、16年連続で大型家電の世界シェアNo.1を記録しているグローバル家電メーカー・ハイアールと、その傘下ブランド「AQUA」のブランドアンバサダーに2024年から就任し、テレビCMはもちろん、公式Webサイトのトップページにも羽生さんがドーンと大きく登場している。
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