都市の覇権を狙うヨドバシ 地方の王者ヤマダはどう出るか?:小売ビジネス(3/3 ページ)
家電市場が頭打ちとなる中、ヤマダHDは多角化を進めているが、苦戦している。一方、ヨドバシが都心の一等地で攻勢を仕掛け、勢力図に変化の兆しが見え始めた。
そんな矢先に、セブン&アイHD傘下だったそごう西武の、不動産ファンドへの株式売却という案件が発生、ファンドのパートナーとしてヨドバシが名乗りを上げることになったのです。そごう西武の池袋、渋谷、千葉の店舗不動産をヨドバシが取得するという連携ですが、ご存知の通り、池袋に関しては、町の玄関口を家電量販店にするのか! という反対もあり、大きな話題となったことは記憶に新しいでしょう。
最終的には池袋も含めて、ヨドバシ+専門店モールの商業施設ができることになりますが、これをきっかけとして膠着していた家電量販店の勢力図が大幅に入れ替わる可能性が出てきました。ヨドバシが取得した3店舗は、ビックカメラの出店地であり、特に池袋は発祥の本拠地です。
ヨドバシは駅直結の超大型店舗+商業施設で、一気にビックカメラの本丸に勝負を掛けてきたのです。このカメラ系大決戦の結果次第では、家電量販店の覇権が動くかもしれないのです。ヤマダの大型店もある池袋の攻防戦がどうなるのか、目が離せません。
著者プロフィール:
中井彰人(なかい・あきひと)
(株)nakaja lab 代表取締役/中小企業診断士
早稲田大学法学部卒業。みずほ銀行産業調査部退職後、2016年独立。流通アナリストとして活動中。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務めつつ、新聞社、テレビ局、出版社などマスコミ各社に寄稿、知見提供、出演多数。東洋経済オンライン、プレジデントオンライン、ダイヤモンドDCS、新潮フォーサイト、ITmediaなどにて月刊連載中。東洋経済オンラインアワード2023(ニューウェーブ賞)受賞。著書として『図解即戦力 小売業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社 2021)がある。
中川朗(なかがわ・あきら)
デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社DTFA Institute主任研究員
大阪大学大学院文学研究科文化表現論修了。シンクタンク、金融機関などで産業調査・国内消費の分析業務に従事。みずほ銀行産業調査部では小売・消費財産業のアナリストとしてサブセクターヘッドを担う。北海道から沖縄、海外は韓国・香港まで幅広く、大手流通や専門店、卸、EC、テック企業を調査。消費の構造変化と企業戦略について産業調査レポート・記事を執筆。2025年5月設立されるデロイトトーマツ戦略研究所に参画予定。
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