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「ドラッグストア」三国志の時代へ 都市・郊外・フードで覇権を握るのはどこか小売ビジネス(3/3 ページ)

イオン主導のドラッグストア再編で、ウエルシアとツルハが経営統合へ。さらにクスリのアオキとの統合も浮上し、フード&ドラッグ型との競争が激化。覇権を握るのはどこか。

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小売ビジネス』(中井彰人、中川朗/クロスメディア・パブリッシング)

 この3タイプの競争は微妙な関係になっていて、都市型と郊外型は相互に相手方のエリアが苦手で、ざっくり都市と郊外で棲み分けている、と言っていいでしょう。郊外型はフード&ドラッグを苦手としていて、単独では戦わず、M&Aによる合従軍を構成して対抗している、と言ってもいいでしょう。

 フード&ドラッグは、チェーン効率を阻害する異物を増やすM&Aをあまり好みません。また、地代の高い都市部にも出ていきません。これらを総合すると、郊外型は、フード&ドラッグの攻勢に対して統合による合従で対抗していますが、店舗ガチンコでは劣勢気味です。フード&ドラッグは今後も郊外型既存店のシェアを奪って成長を続けることが予想されます。

 都市部は、郊外型やフード&ドラッグから攻められにくいため、競争が若干緩やかであり、収益的にも安泰とみられます。そして、郊外型とフード&ドラッグの敗者に対して救済的M&Aを行うことができる、ということになります。

 まとめると、成長し続けるフード&ドラッグに対抗するために、郊外型は再編と統合を続けざるを得ないということです。つまり、縮小する地方ロードサイドでのシェア競争は、レッドオーシャンの極みだ、ということです。そうなると、郊外の激闘で漁夫の利を得るのは、都市型の勝者であるマツキヨココカラなのかもしれません。業界覇権の行方はまだ決まったわけではないのです。

著者プロフィール:

中井彰人(なかい・あきひと)

(株)nakaja lab 代表取締役/中小企業診断士

 早稲田大学法学部卒業。みずほ銀行産業調査部退職後、2016年独立。流通アナリストとして活動中。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務めつつ、新聞社、テレビ局、出版社などマスコミ各社に寄稿、知見提供、出演多数。東洋経済オンライン、プレジデントオンライン、ダイヤモンドDCS、新潮フォーサイト、ITmediaなどにて月刊連載中。東洋経済オンラインアワード2023(ニューウェーブ賞)受賞。著書として『図解即戦力 小売業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社 2021)がある。

中川朗(なかがわ・あきら)

デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社DTFA Institute主任研究員

 大阪大学大学院文学研究科文化表現論修了。シンクタンク、金融機関などで産業調査・国内消費の分析業務に従事。みずほ銀行産業調査部では小売・消費財産業のアナリストとしてサブセクターヘッドを担う。北海道から沖縄、海外は韓国・香港まで幅広く、大手流通や専門店、卸、EC、テック企業を調査。消費の構造変化と企業戦略について産業調査レポート・記事を執筆。2025年5月設立されるデロイトトーマツ戦略研究所に参画予定。


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