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外食大手「売り上げ好調、でも客は減っている」――実質賃金マイナスとエンゲル係数が突きつける現実:小売・流通アナリストの視点(3/4 ページ)
外食業界の業績が好調な一方、値上げや客数減少の影響が浮き彫りに。消費者の財布事情と業界の対応策に迫る。
「客層別価格」の必要性
では、どのような対応が必要かといえば、「顧客層別の価格設定」がキーワードになると筆者は考えている。外食チェーンでは、全国または広域に店舗展開していても、価格は一律というのがこれまでの一般的な手法であった。
しかし、最近ではマクドナルドやすかいらーくが展開するガストなど、一部のチェーンでは店舗の周辺環境に応じた地域別の価格設定を導入する例が増えている。考えてみれば、地域によって所得水準もコストも異なるのだから、マーケットに応じた価格設定の方が道理にかなっている。
地方の消費者にとっては、生活圏内での相対的適正価格が判断基準となるため、大都市圏と同水準の価格ではコストパフォーマンスに見合わない。今後さらに二極化が進めば、価格の高い都市型の店は敬遠されるのも当然だ。市場の把握と、きめ細かい価格設定が大手チェーンにはより一層求められるようになるだろう。
少し前には、カレーの大手チェーン「CoCo壱番屋(ココイチ)」が値上げ後に客数減へ転じたことが話題となった。全国展開するココイチでは地方店舗も多く、少し具を多くすれば簡単に1000円を超える今、「高い」と感じるのは当然かもしれない。
筆者は具の少ないメニューで1000円未満に抑え、今でもよく通っているが、他の店に行くようになった人が多いのもうなずける。実際、地域別価格を採用しているマクドナルド、すかいらーく(ガスト、バーミヤン)、餃子の王将、リンガーハット、大戸屋、スシローなどの客数は、偶然かもしれないが、おおむねプラスで推移している。
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