どうして日本人は“箱型”が好きなのか ミニバンが売れ続ける日本市場の特異性:『自動車ビジネス』(3/3 ページ)
日本でミニバンが人気を集める理由とその歴史的背景を探る。1960年代のセダン全盛時代から、1990年代のミニバン登場、2020年代の高級車化まで、クルマ選びの価値観がどのように変化したのか。
2000年代にはトヨタから「ノア/ヴォクシー」「アルファード」が独立モデルとして誕生。コンパクトなミニバンとしてトヨタ「シエンタ」、ホンダ「フリード」も誕生します。
そして2010年代になると、コンパクトからミドル、ラージまで、幅広い車種をそろえたミニバンの人気がジワジワと高まります。軽自動車では2011年に「N-BOX」がデビュー。「N-BOX」はデビュー3年目に軽自動車販売ナンバー1となり、翌2014年こそ2位となりましたが、その後、2024年まで常に1位という不動の人気を獲得。軽自動車に両側スライドドアの2列ミニバンという潮流を決定づけたのです。
そうしたミニバンの増加は、2020年代になっても継続します。さらにトヨタは2000万円となる超高級ミニバン「LM」を2023年にリリース。また、黒塗りの「アルファード」はハイヤーに使われるようになります。つまり、ラージクラスのミニバンはVIPを乗せる高級車という新しい役割を得ていたのです。
その結果、いまではミニバンは、子育て世代だけでなく、ファミリーや高級車など、幅広い使われ方をするようになったわけです。
著者プロフィール:
鈴木ケンイチ
モータージャーナリスト
1966年生まれ。茨城県出身。大学卒業後に一般誌/女性誌/ PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。年間3、4回の海外モーターショー取材を実施、中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
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