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なぜ「ボンタンアメ」は100年も変わらない? 1日60万粒も売れる、“たまに思い出す”チカラ(1/4 ページ)

昭和100年に100周年を迎えるボンタンアメ。派手な宣伝より“ときどき、ずっと”を信条に、味も製法も大きく変えず、懐かしさと安心感で世代を超えて愛され続けている。

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 2025年は「昭和100年」にあたる。同じように誕生から100年を迎える企業や製品も多く、鹿児島生まれの銘菓「ボンタンアメ」もそのひとつだ。1日当たり60万粒を製造し、「懐かしいお菓子」の定番となっている。なぜ1世紀もの間、ロングセラーを続けられたのか。

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セイカ食品の「ボンタンアメ」(画像はセイカ食品提供、以下同)

 同商品の誕生は1925年。当時、製造元のセイカ食品(鹿児島市)は経営が思わしくなく、新たな活路を模索していた。

 そんな中、従業員が朝鮮飴(もち米、水飴、砂糖を練り合わせた和菓子)をハサミで切って遊んでいるのを見た初代社長の玉川壮次郎氏が、一口サイズの飴に文旦(ぶんたん、柑橘類に分類される果物の一種)の色と香りを付け、キャラメル箱に詰めるアイデアを思いついた。

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オブラートに包まれたボンタンアメ

 ボンタンアメは、原材料にもち米、水飴、砂糖、鹿児島県阿久根産の文旦から抽出したオイルを使用。主なレシピと味は発売からほとんど変えていない。当初は「田舎っぽい」という意見もあったパッケージのデザインも、南国らしい色彩で好評を博した。

 一般的なグミやソフトキャンディと違うのは、オブラート(馬鈴薯・かんしょ澱粉でつくられたシート)に包まれている点だ。食べるときに手や口に付くのを防ぐ効果がある。キャラメルのような包装紙では、もち米を使った飴の特性上くっついてしまうため、オブラートで包む方法を採用した。

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旧パッケージ

 製造工程では、モチモチとした独特の食感を保つため、温度や湿度を徹底的に管理している。「オブラートもボンタンアメも温度や湿度に非常に敏感。四季を通じた品質管理のノウハウが全工程に詰まっている」と同社の広報担当者は説明する。

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