インタビュー
なぜ「ボンタンアメ」は100年も変わらない? 1日60万粒も売れる、“たまに思い出す”チカラ(2/4 ページ)
昭和100年に100周年を迎えるボンタンアメ。派手な宣伝より“ときどき、ずっと”を信条に、味も製法も大きく変えず、懐かしさと安心感で世代を超えて愛され続けている。
目先の売り上げより、長期的な愛着を重視
ボンタンアメのキャッチコピーには、「ときどき、ずっと」を掲げている。このフレーズには、ラーメンは2週に1回、寿司は1カ月に1回といった、人それぞれが持つ「食のサイクル」の中で、数年に一度でも「たまに思い出して買ってもらえれば」という願いが込められている。
同社の商品に対する哲学を表したものであり、目先の売り上げよりも長期的な愛着を重視する姿勢といえる。
販売戦略においても、過度な宣伝を控え、一時的なブームを追わない方針を貫く。この「懐かしさを覚え、長く愛される商品」を目指す姿勢こそが、100年続くロングセラーの基盤となっている。
実際、周年を祝うイベントの実施予定もなく、「ボンタンアメ100周年記念缶」を数量限定で販売するにとどめている。
発売当初は、独創的なマーケティング施策を実行する構想もあった。1928年には、払い下げの軍用機からボンタンアメを散布するという宣伝計画もあった。メディアでも取り上げられたが、不況による資金不足で頓挫した。しかし、話題性だけでも十分な宣伝効果があったという。
戦時中には原料調達の困難から一時生産中止に追い込まれたものの、戦後の1950年に製造を再開。鉄道網の発達とともに販路を全国に拡大した。九州出身者が、郷土を思い出す味として県外で購入するケースも増えたほか、故郷からの仕送りに添えられることもあった。こうした広がりが、派手な宣伝に頼らない販売戦略を支えた。
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