CFOの仕事に「採用」が加わるかもしれない
米Deloitteが発表した最新の調査で、会計人材の高齢化と後継不足により、CFOが人材採用の意思決定にこれまで以上に深く関与するようになっていることが明らかになった。
米Deloitteが発表した最新の調査で、会計人材の高齢化と後継不足により、CFOが人材採用の意思決定にこれまで以上に深く関与するようになっていることが明らかになった。
CPA資格取得要件の緩和で人材流入を促進
公認会計士の退職と、若年層がこの分野を選ばなくなっているという“ダブルパンチ”により、CPA(米国公認会計士)資格の取得要件を緩和することで、より多くの人材を会計業界に呼び込もうとする動きが活発になっている。
これまでに、少なくとも11の州が「150時間ルール」という障壁を撤廃する法律を可決している。このルールは、ライセンスを取得するために実質的に大学を5年通うこと、すなわち150単位の履修を求めるものだ。
スキルギャップにはテクノロジーで対応
財務部門では、スキルギャップを埋めるために、自動化やAIを含むテクノロジーの活用がますます進んでいる。Deloitteの米国CFOプログラム統括マネージングパートナーであるスティーブ・ガルッチ氏らによる報告書によれば、調査対象となったCFOのおよそ8割(79%)が、今後24カ月以内に生成AIを「スキルギャップを埋める手段」として活用する可能性が高いと回答している。
今後の展望:CFOの役割は「人材確保と育成」へ
第1四半期の調査によると、今後いくつかの課題が生じる可能性があることが分かった。CFOの48%が、新しい技術の導入に対するスタッフの抵抗を、経営幹部の期待に応える上で最大の課題として挙げている。
一方でCFOたちは、人材不足が自社の従業員や企業全体に与える影響についても不安を抱えている。人材パイプラインに関する最大の懸念は、既存の従業員にかかる業務負荷の増大であり、CFOの44%がこれを指摘している。次いで、機関投資家や個人投資家からの信頼を失うことへの不安が42%、財務部門に対する取締役会の信頼が損なわれることへの懸念が41%となっている。
デロイトは「こうした結果により、最高財務責任者(CFO)が厳しい立場に置かれる可能性がある」と指摘している。調査回答者のうち、自社が会計士やその他の財務人材の不足に直面していないと答えたのは、わずか15%にとどまった。
CFOが直面している人材不足の問題に焦点を当てたデロイトの記事には、通常の四半期調査に含まれることが多い、経済全体に対する見通しに関する調査結果は掲載されていなかった。デロイトの広報担当者は4月、2月に調査を実施した後に経済環境に変化が生じたことを理由に、今回は従来の形式のレポートを公表しないという判断を下したと述べていた。同社はこの件に関する追加の問い合わせには応じていない。
デロイトの2024年第4四半期版「Signals」レポートでは、経営幹部の楽観的な見方が急激に強まっていることが示された。200人のCFOを対象にした調査では、72%が1年後には経済が好転すると予測しており、前四半期の19%から大きく上昇している。
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