雪塩さんどは「一本足打法」で終わらない――ヒットを生み出し続ける秘密とは?:地域経済の底力(1/4 ページ)
大ヒットとなった「雪塩さんど」。ただ、宮古島の雪塩社が危険視するのは「一本足打法」になることだ。ヒットを生み出し続けるためには、どのような考え方が必要なのか。インタビュー後編。
年間約20億円を売り上げる「雪塩さんど」を中心に、菓子事業が急成長している宮古島の雪塩(沖縄県宮古島市)。西里長治社長へのインタビュー前編では、ブランド戦略と商品開発の舞台裏に迫った。
雪塩の成功要因の1つは、インバウンド観光客の取り込みにあった。同社の西里長治社長によると、ゴーフレットの「雪塩ぱりん」は、売り上げの7割が海外観光客によるものだという。販促活動は一切しておらず、完全に口コミで広がっているのだとか。雪塩さんども、インバウンド需要が売り上げをけん引していることは間違いない。
コロナ禍前から、沖縄本島や宮古島ではインバウンド観光客の増加が顕著だった。もともと塩ビジネス中心だったが、そこから万国共通である菓子事業にシフトしていったのも、インバウンドの影響だ。
コロナ禍が終わり、観光客数が回復した後は、さらに需要が高まっている。実はゴーフレットは10年近く前から販売していた商品だが、味をほぼ変えずにパッケージのデザインを「雪塩ブルー」に統一したことで、4倍ほど売り上げが伸びた。現在、雪塩ブルーのシリーズ商品は「出せば出すだけ売れる」状況となっているのだ。
商品別で見ると、雪塩さんどが約20億円で、「雪塩ふぃなん」(フィナンシェ)が約5億円。それ以外の商品もまとめ買いされており、ブランド統一の効果が出ている。今年は新たな商品を矢継ぎ早に発売していく計画だ。
一方で、生産が追いつかずに品切れが発生することもある。その際は、供給量を調整するため、あえて価格設定を変えて需要をコントロールすることもあるという。
2026年には宮古島に新工場が完成予定だ。「新工場が稼働すれば、今の3倍の量を作ることもできます」と西里社長は期待を寄せる。「次はノルマです。どんどん売らないといけなくなりますよ」と笑みを見せる。
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