連載
雪塩さんどは「一本足打法」で終わらない――ヒットを生み出し続ける秘密とは?:地域経済の底力(4/4 ページ)
大ヒットとなった「雪塩さんど」。ただ、宮古島の雪塩社が危険視するのは「一本足打法」になることだ。ヒットを生み出し続けるためには、どのような考え方が必要なのか。インタビュー後編。
あきられる前に、次の一手を
同社の好調ぶりは、着実に数字に表れている。2025年3月期の売上高51億7000万円に対し、営業利益は約17億円。利益率は34.5%と、初めて30%を超える見込みだという。「半分近くは雪塩さんどによる利益なので、積極的に還元していこうと思っています」と西里社長は強調する。
ただ、この成功に甘んじているわけではない。
「あきられるのが一番怖いので、何かしなければと考えていますが、まだ解は見つかっていません。雪塩ブルーシリーズの商品が一巡した時に何が起こるのか、今のうちに考えておく必要があります。どのように商品を展開していくべきなのか、ここからの2、3年が勝負ですし、土俵の真ん中にいる間に、次の一手を仕込んでおくべきだと感じます」
常に先を見据え、売れているうちに次の戦略を練る西里社長。雪塩さんどに続く新たなヒット商品とともに、宮古島の産業振興にも貢献し続ける姿勢が、今後も同社の成長を支えていくだろう。(インタビュー前編を読む)
著者プロフィール
伏見学(ふしみ まなぶ)
フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。
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