アジア新興国で売れるクルマは何か スズキとトヨタが示す“正解”:『自動車ビジネス』(1/3 ページ)
かつて米国が最大だった自動車市場は、中国、そしてインドやアセアンへと拡大している。国ごとに売れる車種が異なる中、日本車が支持される理由と、現地市場に合わせた戦略とは……。
この記事は『自動車ビジネス』(鈴木ケンイチ/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
かつて世界最大の自動車市場と呼ばれていたのが米国です。しかし、近年は中国市場が拡大したことで、米国は世界2位となっています。2023年の実績で言えば、米国の国内の年間販売台数は約1600万台で、中国の販売台数は、その倍に近い約3000万台にも達しています。ちなみに日本市場は約480万台しかありません。
しかし、中国以外にも、日本のまわりには、高いポテンシャルを備える市場がいくつも存在しています。それがアセアンであり、インドです。アセアンは、タイを中心にインドネシアやマレーシア、ベトナムを含み、このエリアだけで、6億人を抱えます。いまは、まだエリア全体で320万台弱の販売数しかありませんが、現在の調子で経済発展を続ければ、いつかは日本を凌駕することは間違いありません。
また、インドは、人口10億人を超え、すでに日本を超える年間500万台の販売を記録しています。
つまり、アセアンとインドという、まだまだ伸びしろの大きな市場が日本のまわりには存在しているのです。
そんなアセアンとインドは、同じ新興国ではありますが、売れるクルマがまったく異なります。アセアンの中のタイやインドネシアといった国でも、人気モデルは違います。お国柄が異なれば、売れるクルマも変わってくるのです。
例えば、数多くの自動車メーカーが生産拠点をおき、アジアのデトロイトと呼ばれるタイでは、ピックアップトラックが最も数多く売れています。トヨタやいすゞ、三菱自動車のピックアップトラックがベストセラーの座を争っています。それに続くのが、小型のセダン、そしてコンパクトSUVです。
ところが、すぐ隣にあるマレーシアは、普通の乗用車が販売の半分を占めており、逆にピックアップトラックは1割にも届きません。まったく売れるクルマが違います。
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