アジア新興国で売れるクルマは何か スズキとトヨタが示す“正解”:『自動車ビジネス』(2/3 ページ)
かつて米国が最大だった自動車市場は、中国、そしてインドやアセアンへと拡大している。国ごとに売れる車種が異なる中、日本車が支持される理由と、現地市場に合わせた戦略とは……。
さらに2億人を抱えるインドネシアの売れ筋も独特です。こちらの国では、3列シートのミニバンがベストセラーです。ただし、スライドドアではなく、普通の4枚ドアというのが特徴。日本にはない、トヨタ「キジャン・イノーバ」や、ダイハツ「シグラ」、三菱「エクスパンダー」、スズキ「エルティガ」が人気を集めています。
ちなみに取材を通じて感じた個人的な見解ですが、アセアンで「可愛い」を好む女性は、意外と少数派のようです。タイの女性は「可愛い」ものを好みますが、他の国では女性であっても「格好よい/セクシー」の人気が高いように思えます。女性向けに「可愛い」をデザインしたクルマやバイクを作っても、タイ以外では人気が出ないという話を耳にしたことがあります。
最後にインドですが、ここも、どこの国とも異なる文化があり、売れるクルマも異なります。この地で人気を集めるのは、小さなクルマです。具体的に名前を挙げれば、スズキの「ワゴンR」や「スイフト」がベストセラーカーとなっています。スズキはインドの地で、シェア約4割を獲得するナンバー1ブランドであり、その人気モデルがベストセラーカーとなっているのです。
スズキに続くシェア2位はヒュンダイであり、3位がタタ、4位がマヒンドラ&マヒンドラ、5位がトヨタで、6位が起亜、7位がホンダとなります。インドの地元のブランドは3位と4位だけで、他は日本と韓国のメーカーが名前を連ねているのです。
こうして、タイ、マレーシア、インドネシア、インドと比べてみれば、どこも見事に売れるクルマは異なっています。ただし、共通することもあります。それが、どこの国も日本車のシェアが非常に高いということです。これは、日本の自動車メーカーが、現地のニーズにあわせて、クルマを細かく作り分けていることが勝因と言えるでしょう。
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