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なぜ“アリーナ”に人が集まるのか? 神戸「GLION ARENA」に25万人が訪れた理由(5/6 ページ)

神戸のウォーターフロントに誕生した「GLION ARENA KOBE」。震災から30年の節目に開業し、地域回遊やデジタル施策を組み合わせた新たなスマートシティモデルとして注目を集めている。

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「Commons Tech KOBE」で実現する次世代の街づくり

 アリーナを起点とした地域活性化戦略の核として、10社による企業コンソーシアムによる「Commons Tech KOBE」プロジェクトも進めていく。

 すでに、アプリ「TOTTEI KOBE」を通じて、神戸ストークスが勝利した日には周辺の飲食店でビールが無料になるサービスや、スタンプラリー機能により来場者をウォーターフロントの周辺エリアに誘導する仕組みなどを導入している。

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「Commons Tech KOBE」プロジェクト

 同アプリには独自のキャッシュレス基盤「TOTTEI PAY」も搭載し、決済データを活用した人流分析も行う。街中に設置するビーコンで収集したデータと組み合わせ、来訪者の回遊行動をリアルタイムで把握できる体制を整えている。

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取り組みの全体像

 回遊促進の対象エリアについては、今後は拡大を計画しており、三ノ宮や旧居留地、中華街など神戸の主要な観光スポットにも広げていく。近隣の水族館「atoa(アトア)」や温泉施設との連携では既に成果も表れており、「実際にアプリを通じて、人の動きに関するデータが取得できるようになってきた」と渋谷氏は手応えを語る。

 アリーナ単体ではなく、エリア全体が相互に集客し合える環境を構築し、いわば「面」での人流回遊を生み出すことを目指している。

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「TOTTEI KOBE」アプリ

 この取り組みは「Smartest Arena」構想の一環であり、ハード(施設)、ソフト(エンターテインメント)、デジタル(ICT技術)、ソーシャル(コミュニティ形成)の4要素を連携し、民設アリーナを軸としながらICTとデータを活用し、スマートシティの「神戸モデル」の実現を目指す。開業初年度はテストフェーズと位置付け、その後の本格始動を予定している。

 競技は異なるが、Jリーグのサンフレッチェ広島も都心部にスタジアムを建設したことで、観客動員数が伸びただけでなく周辺への人流が増え、経済効果を生んでいる。神戸でも同様の効果が期待される。

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