「チョコモナカジャンボ」はまだ完成していない? 外国人が注目する“日本限定アイス”の裏側(3/5 ページ)
森永製菓の「チョコモナカジャンボ」は、年間約2億個を販売するロングセラー商品だ。独自の「鮮度マーケティング」と、パリパリ食感を守る技術で国内外から支持され、訪日外国人にも人気を集めている。
5年をかけて「チョコの壁」技術を開発
チョコモナカジャンボはモナカの「パリ」とセンターチョコの「パキ」という複合食感が特徴で、この独特の食感が競合製品との差別化要因となっている。このできたての食感を消費者に届けるために開発されたのが「チョコの壁」と呼ばれる独自技術だ。
アイスは約60%が水分のため、時間の経過とともにモナカに染み出し、パリパリ食感が損なわれてしまう。この問題を解決するため、バニラアイスの両側面をチョコで覆い、モナカの隙間からの吸湿を防ぐ仕組みを開発した。
開発には5年を要した。当初は姉妹品の「バニラモナカジャンボ」(参考小売価格184円)で実現したが、チョコモナカジャンボはセンターチョコを挟むため上下のバニラアイスが分離した構造になっており、技術応用が困難だった。
最終工程でチョコをモナカの隙間に流し込む際には、アイスが冷たいためチョコがすぐに固まってしまう。そのため、チョコの粘度や温度、さらにはアイス側の温度設定も極めて重要となる。「緻密な計算のもとにチョコの壁をつけるのが大変だった」と中村さんは振り返る。2025年2月には食物繊維原料を追加し、防湿性がさらに向上した。
開発を支える「ジャンボ職人」と呼ばれる専門チームもあり、店頭で販売するチョコモナカジャンボのモナカを削り、水分値を日々チェックしている。職人は水分値を0.5%の誤差で言い当てるほどの技能を持つという。さらに同社は感性研究も実施し、骨伝導音や脳波測定により、パリパリ音が「心地よい」「おいしそう」というポジティブな感覚を引き起こす可能性も指摘している。
技術と徹底した品質管理に加えて、感性にもアプローチ できている点が、他社には真似できない独自性を生み出している。
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