「聴く力」がないリーダーたち 部下に話が伝わらない原因は?(2/4 ページ)
マネジメントを初めて経験する方にとって、新しいメンバーとの関係構築は大きな挑戦です。リーダーとしての思いを伝えようとあれこれやってみたものの、手応えがなく困った経験はありませんか?
「傾聴」のない会議では、何も決まらず、納得感も生まれない
もちろん「コミュニケーション」なので、傾聴だけでは目的を半分しか達成できません。あくまで、会話しているメンバー同士が意思や感情、思考を 「伝達しあう」 ことがゴール。「聴いてもらえた!」「伝えることができた!」──相手を理解し、相手に自分を理解してもらう。これを達成したときこそ、お互いに深い信頼が生まれるのです。
また、ビジネスにおけるコミュニケーションは正確さが求められます。相手にどう動いてほしいか「背景」「考え」「目的」があり、それを正しく理解する必要があるためです。
しかし、仕事の現場では正しくコミュニケーションが行われないことばかり。良好なコミュニケーションはチームワークの基盤となる一方で、不足すればメンバー同士のコンフリクトの原因となることもあります。特に会議の場では、この問題がより顕著に現れることが多いです。議題が提示され、その趣旨について説明があった後、全員での話し合いが促されますが……皆さんはこんな経験はありませんか?
- 何も話さず、じっとしている人がいる
- 一方的に話しているメンバー
- 上司の影響が強くて本音が言えず、当たり障りのない話をしてしまう
具体的な場面が思い浮かんでしまったという方は想像がつきやすいと思いますが、こういう会議は「具体的に何が決まったのか」が明確でないまま、終わることが少なくありません。仮に参加者が満足そうな表情をしていても、その背後には「何が決まったのか」に対する不明瞭さや、不確実性が潜んでいる場合があります。要は「不完全燃焼」で終わっているということです。
これも「傾聴」不足が原因といえます。具体的な結論や行動計画といった議論に対して、それぞれの「思い」や「考え方」を発したり、受け取ったりといったアクションができておらず、いわば「議論の空中戦」が発生してしまっているためです。心理的安全性が低い状態とも言い換えられます。
これは対話の質の問題であり、傾聴できない場の問題でもあります。効果的なコミュニケーションとは、単に情報を伝えることだけでなく、しっかり傾聴し、相互理解を深め、共有の目標に向かって具体的な行動を導くことが重要です。
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