Q: 部下が「心理的安全性が低すぎる」と退職を打診してきました。そんなことを言われても、具体的に何がダメだったのか、そもそも「心理的安全性が低い」というのがどのような状況を指すのかも、いまいちしっくりきません。不満があるならもっとはっきり言ってくれればいいのに……。
「心理的安全性が低い」って、結局何が悪かったの?
A: 退職を考える理由はいろいろあります。その上位に位置するものとして「報酬によるもの」「労働環境や労働時間によるもの」があります。企業としてもこれらの原因に対する退職防止の取り組みは想像がしやすいでしょう。
しかし、退職理由の上位には「人間関係によるもの」もあります。この中に「心理的安全性」の低さも含まれるのです。
心理的安全性が低いと、部下は上司に対して思ったことを伝えることが出来なくなり、結果的に人間関係に不安を抱き、退職に至ってしまいます。このような退職を防ぐためにも心理的安全性を高めるための取り組みを行うべきでしょう。
そもそも「心理的安全性」とは
心理的安全性とは「対人関係のリスクを取っても、安全だと信じられる職場環境である」ことを言います。この言葉はハーバードビジネススクール教授のエイミー・C・エドモンドソンさんが発表したもので、Google社の「プロジェクト・アリストテレス」という調査により、生産性の高いチームにおける一つの重要な要素として注目されることとなりました。
心理的安全性が高い状況というのは、目的・目標を達成するために誰に対して自分の思ったことや感じたことを率直に発言しても、誰からもばかにされず罰せられることのない状態です。従って、時には相手に対して厳しい意見を伝える場面もあると思いますが、そのような場面でも率直に意見を伝えることができる状態。これが「心理的安全性の高い状態」と言えるのです。
「心理的安全性が高い」=「誰もがいつも相手の意見に賛成し、相手を傷つけない仲良しの関係」ではないということです。むしろこのような状態の対局にあるものなのです。
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