Q: 当社では数年前から、働き方改革を実施して残業を減らすなど、柔軟な働き方を実現するよう取り組んできました。
ただ、いわゆるホワイト企業化が進むにつれて、なぜか若手の離職が少しずつ増加し、困っています。退職者からは「このままじゃ自分が成長できないと思った」「もっと挑戦したい」といった意見が挙がっており……。
せっかく働き方改革に成功したのに、ホワイトすぎてもダメといわれてしまい、かといってブラックにもなれない――働き方改革とやりがいや成長実感・スキルアップのあんばいは、どう考えるべきなのでしょうか?
本当に“ゆるい”だけが原因か
最近「ホワイト離職」という言葉を耳にする機会が多くなりましたね。いわゆる「ゆるい職場では物足りない」という理由で退職していく現象です。
ここで考えておきたいのは“ゆるい”とは何か? ということです。残業がない、休みが多いことも“ゆるい”の一部ではあります。
かつて、私が労働時間に関してシェフや板前を目指す若者にインタビューをしたとき、和食・洋食問わず、一定数以上の人は「あまりにも労働時間を規制されると、一人前になるのが遅れるから迷惑だ」という声がありました。過度な長時間労働はやはり嫌だが、適度には働いていたいということでした。
これは単純に労働時間を延ばしてほしいという希望ではなく、技術を磨きたい、新しいスキルを身に付けたい、早く独立したいというのが、本質的に求めている内容です。
つまり、ホワイト離職の原因は労働時間によるものだけではないということです。
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