みなし残業制、どうせなら「毎日定時」で帰りたい ダメですか?(1/3 ページ)
多くの企業が取り入れている「みなし残業制」(=固定残業制)。「どうせ残業代が含まれているのなら、何とかして仕事を終わらせて、毎日定時に帰りたいよね」と考えるビジネスパーソンも多いのではないだろうか?
多くの企業が取り入れている「みなし残業制」(=固定残業制)。「どうせ残業代が含まれているのなら、何とかして仕事を終わらせて、毎日定時に帰りたいよね」と考えるビジネスパーソンも多いのではないだろうか?
みなし残業制の会社で、毎日残業せず定時退社するのは問題なのか。上司からの「残業要請」には必ず応じないといけないのか……?
みなし残業制に対して「ブラックだ」という印象を持っている人も多いだろう。今回は、みなし残業制のメリット・デメリットも踏まえて、社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所の永野奈々氏が解説をする。
みなし残業制とは?
みなし残業制とは、労働者が毎月、またはあらかじめ決まっている給与計算期間にわたって、一定の残業(時間外労働)を行うことを予定し、その残業に対する報酬が給与に含まれている制度です。
具体的には、例えば「基本給が月給30万円で、月40時間分のみなし残業代である9万3760円が別途支給される」といった雇用契約を結んでいる場合、この労働者はその月に40時間の残業をした場合でも、1分も残業をしなかった場合でも、月給39万3760円が支給されます。仮に月に40時間を超える残業をした場合には、その超過分の賃金と割増手当が初めて支給されることになります。
【お詫びと訂正:2023年11月20日午後6時 文章に一部誤りがございましたので、加筆修正を行いました。お詫びして訂正いたします。】
「定時退社」がダメが訳ではない、しかし注意点も……
冒頭の話に戻りましょう。
確かに残業をしてもしなくても、もともと決められたみなし残業時間の範囲内であれば給与が変わらないのは事実なので、「定時に帰りたい」と思う気持ちも最もと言えば最もです。しかし、基本的には残業を拒否することはできません。
なぜならば、通常、会社の就業規則や雇用契約書において、業務上の理由があれば契約で定める所定労働時間を延長して労働させることができる旨が定められており、残業命令に従うことは義務であるからです。
例外として、育児や介護が必要な場合や、労働者の健康に影響を及ぼす場合など、正当な理由がある場合には拒否することができます。しかし、基本的には「職責を果たすために、必要があれば残業を行う」ことも含めて会社と契約を結んでいるのです。
関連記事
- 「管理職になりたくない」 優秀な社員が昇進を拒むワケ
昨今は「出世しなくてもよい」と考えるビジネスパーソンが増えている。若年層に管理職を打診しても断られるケースが見受けられ、企業によっては後任者を据えるのに苦労することも。なぜ、優秀な社員は昇進を拒むのか……。 - 「管理職辞退」は悪いこと? 断る際に重要な2つのポイント
昨今「管理職になりたくない」「管理職にならない方がお得だ」――という意見が多く挙がっている。管理職にならず、現状のポジションを維持したいと考えているビジネスパーソンが増えているが、管理職登用を「辞退」するのは悪いことなのだろうか……? - 「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観
「ホワイト離職」現象が、メディアで取り沙汰されている。いやいや、「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観を考える。 - 時短勤務や週休3日が「働く母」を苦しめるワケ 働き方改革の隠れた代償
男性育休の促進、時短勤務やテレワーク、フレックスタイム制といった従来の制度をより使いやすくする動きが進んでいる。子育てをしながら働き続けるためのオプションが増えるのは良いことだ。しかし一方で、「これだけの制度があるんだもの、仕事も子育ても頑張れるでしょ?」という圧力に、ますますしんどくなる女性が増えてしまう可能性も。 - 「テレワークを廃止」したら退職者が急増 原則出社はもう無理なの?
- 日本から「転勤」がなくなるかもしれない、これだけの理由
日本から「転勤」がなくなる日は来るのだろうか――。手当を増やすことでなんとか転勤を受け入れてもらおうとする企業がある一方で、転勤制度を極力なくしていこうという企業も出てきている。日本に特有と言われる転勤制度は、これからどうなるのだろうか……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.