この記事は、パーソル総合研究所が2022年4月7日に掲載した「人はどのように会社を辞めるのか 〜離職意思のメカニズム〜」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
近年、急速に増えた企業からの相談の1つに「優秀な人材が辞めていってしまう」というものがある。典型的なのは、離職率の低い安定した大手企業から、優秀な若手がスタートアップ企業などへ転職している、という相談だ。
この問題の背景には、入社後のゆっくりとした昇進・選抜プロセスに若手がついていけないこと、以前ほどの年功的な賃金カーブが期待できないこと、ベンチャー企業の給与や働き方が以前よりも改善されてきたことなどの構造的な変化がある。これらの変化は全て、長期就業へのインセンティブをなくす方向に影響しているだろう。さらに2020年からのコロナ禍もまた、人々のキャリアへの意識を大きく揺らし続けている。
本コラムでは、職場状態に関連したよりミクロな視点で、人が今働いている会社を辞めていくメカニズムを「転職学」(※)の知見から紹介したい。
「会社への不満」による転職が8割
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