「ドコモ経済圏」のカギはアリーナ? 通信大手が描く“体験ビジネス”の未来(1/6 ページ)
NTTドコモがアリーナ・スタジアム運営に本格参入した。最先端の通信技術を武器に、観客体験の向上と地域活性化を両立し、「ドコモ経済圏」の入り口としてエンタメ事業を位置付ける。
エンタメ市場が拡大している。2024年のライブエンターテインメント市場は過去最高の7605億円(ぴあ総研調べ)、スポーツ観戦市場は8151億円(前年比57%増、マクロミル調べ)に達した。こうした中、NTTドコモがアリーナ・スタジアム運営に本格参入している。
2019年から有明アリーナ(東京都江東区)、2025年4月から国立競技場(東京都新宿区)とジーライオンアリーナ神戸(神戸市)、7月13日に開業するIGアリーナ(名古屋市)と、計4施設の運営に携わっている。なぜ、通信会社がアリーナ運営に乗り出すのか。狙いと戦略を聞いた。
NTTドコモがアリーナ運営に参入したきっかけは、2018年にさかのぼる。当時、5G通信サービスを本格的に活用できる場面を模索していたところだった。「高速大容量通信をサービスとして活用するには、人が感動するリアルな場が最適と考えた」と、エンターテインメントプラットフォーム部の岡由樹氏は語る。
そこで浮上したのが、ベニュー事業(スタジアムやアリーナの運営、イベント誘致、飲食販売などを含む複合ビジネス)への参入だった。
同社は、ベニュー事業における日本と海外のビジネスモデルの違いに着目。国内では、施設の賃貸料が収益の多くを占めていたが、海外は多角的な収益構造を構築し、得た利益を新たな投資へ回すサイクルが確立されていた。
例えば、ネーミングライツ(施設の名称に企業名などの愛称を付ける権利)もそのひとつ。米国や欧州では、15〜20年で数億ドルの契約もザラにある。一方で、例えばJリーグのネーミングライツ契約金額は上位でも年2億円台にとどまり、その差は歴然としている。
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