インタビュー
「ドコモ経済圏」のカギはアリーナ? 通信大手が描く“体験ビジネス”の未来(6/6 ページ)
NTTドコモがアリーナ・スタジアム運営に本格参入した。最先端の通信技術を武器に、観客体験の向上と地域活性化を両立し、「ドコモ経済圏」の入り口としてエンタメ事業を位置付ける。
テクノロジーで変わる日本のエンタメ業界
海外の事例と比較した際、日本のベニュー事業は改善余地が大きい分、市場拡大の可能性を秘めている。一方で、国内における人口減少は確実に進行している。「だからこそ、一人ひとりの感動や体験価値に、より重きが置かれるようになる」と岡氏は語る。いかに、価値の高いエンターテインメントを提供できるかが今後の課題だ。
最近では、長崎スタジアムシティやエスコンフィールドHOKKAIDOなど、付加価値の高いサービス提供で成果を上げる事例も出てきている。NTTドコモは、IOWNなどの最先端の通信技術と、「dアカウント」を活用したマーケティングにおける強みを武器に事業を進める。
また、年々増加するインバウンド需要の取り込みも重要だ。同社は、アリーナを日本のコンテンツの世界発信拠点として活用する考えも検討している。音楽やアニメといった日本発の文化を発信することで、海外からの観光客誘致にも期待を寄せる。
テクノロジーが進化すればするほど、リアルな感動体験の価値はむしろ高まる。その点、NTTドコモの複数施設の同時運営は武器になる。4つのアリーナで得られるノウハウの共有やIOWNによる拠点間連携など、スケールメリットを生かした運営は、他の施設や事業者にはない特徴といえる。
ただし、数十年スパンでの投資回収や地域との関係構築は簡単ではない。最新技術による体験と、アリーナやスタジアムを囲む地域との連携を両立させた持続的な成長モデルの構築が求められる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Perfumeの“振動”が伝わった NTTが万博で見せた、感覚を共有する通信
大阪・関西万博のNTTパビリオンでは、次世代通信基盤「IOWN」を活用し、空間転送や感情連動建築など、未来のコミュニケーション体験を提供している。特徴は……。
なぜ“アリーナ”に人が集まるのか? 神戸「GLION ARENA」に25万人が訪れた理由
神戸のウォーターフロントに誕生した「GLION ARENA KOBE」。震災から30年の節目に開業し、地域回遊やデジタル施策を組み合わせた新たなスマートシティモデルとして注目を集めている。
「北海道のボールパーク」人気の理由は? 418万人を引き寄せた“試合以外の300日”
なぜ野球の試合がない日でも、多くの人が集まるのか。北海道日本ハムファイターズの本拠地「北海道ボールパークFビレッジ」のことである。その秘密を取材したところ……。
ジャパネットが手がけた「長崎スタジアムシティ」 開業1カ月で55万人来場のワケ
サッカースタジアムを核とする「長崎スタジアムシティ」の集客が好調だ。試合がない日にもかかわらず、多くのにぎわいを見せているのはなぜか?
「広島の新スタジアム」集客率90%超の理由は? 街中に広がる“紫”の熱狂
Jリーグの入場者数が増えている。2024年は過去最高を記録したわけだが、その背景に何があるのか。

