コラム
“赤字メニュー”も辞さず それでも収益を生むフランス料理の設計術:『レストランビジネス』(1/4 ページ)
レストランの原価管理の工夫から、長く愛される名店の共通点までを解説する。スペシャリテや空間演出、ブランド力など、繁盛店が実践する“続く店”の秘けつに迫る。
この記事は『レストランビジネス』(東龍/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
一般的にレストランの食材費は売り上げの30%と言われていますが、メニューよって原価率は異なります。レストランではすべてのメニューを平均して目標とする食材費比率になるように、メリハリをつけています。
例えば、黒毛和牛やトリュフ、オマールブルーやキャビアなど、高級食材を使用している場合、無理に原価率を30%に落とし込もうとすると、価格が高くなってしまい、注文されにくくなってしまいます。そのため、高級食材を使用するメニューは原価率を高くする代わりに、サラダやパスタ、卵料理などで原価率を抑えて、全体で30%に収まるように工夫しています。
コースでは、どのメニューも同じ原価率にすると、高い食材を組み込めなくなってしまいます。コース全体で考えて、アミューズや前菜類、デザートや小菓子などで原価を抑えて、メインディッシュにコストをかけられるようにしています。
同じワインでも、ボトルは30〜50%と原価率を高くして良心的な価格にし、グラスは6〜8杯取り(125〜約90ミリリットル)にして、20〜30%と原価率を低く設定します。グラスワインは利益率が高いものの、少量に分けて値段を安くしているので、オーダー数が増えます。ボトルワインは単価が高いので、利益率を下げても収益を確保できます。
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