チョコザップはなぜ伸びた? “3年で1800店”の裏にある仕組みの力:ササる“数字”のつくり方(2/5 ページ)
無人ジム「チョコザップ」が全国1800店舗に拡大した。マシン故障などの課題に直面しながらも、どのようにして店舗数を増やしてきたのか。
最大の壁は「マシンの故障」
店舗数が増えていることはよく分かったが、会員数はどうなのか。2025年5月15日時点で135万人に達し、同社によると、国内ジム市場の約3分の1を占めているという。
数字だけを見ると「急成長しているなあ。でも、スピードが速すぎるので、大きな課題があった……いや、いまもあるのでは?」と疑った人もいるかもしれないが、その通りである。最大の壁は「マシンの故障」だ。
店内には、さまざまなマシンが並んでいる。背中や肩まわりの筋肉を鍛えるものだったり、心肺機能を高めるランニングマシンであったり、足腰を鍛えるバイクであったり。ただ、SNSを見ると「設置されたバイクが次々壊れているよ」「半年以上放置されたままのマシンも。安かろう悪かろうの印象が強いなあ」など厳しいコメントが相次いだのだ。
もちろん、何も手を打たなかったわけではない。オープン時に「サポートセンター」を設置し、利用者からの報告をオペレーターが受け付けていた。しかし、件数がどんどん増えていき、対応が追いつかなくなったのだ。
「なんだかヘンな音がしてうるさいんだけど」「ワイヤが切れているようだけど、どうすればいいの?」といった利用者からの声があれば、近隣のRIZAPトレーナーが現場に駆けつけて対応していた。しかし、2023年9月にチョコザップの店舗数は1000店を突破。一方、RIZAPの店舗数は約100店にとどまっており、その差は約10倍に広がっていた。
この状況下で何が起きたのか。RIZAPは本業であるパーソナルジムの運営を手掛けながら、チョコザップのマシンの故障にも対応しなければならない。結果として、人手も時間も足りず、現場を十分にカバーできなくなったのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
「年収700万円」ファミリーは、どんなところに住んでいるのでしょうか。データを分析してみました。
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
かつて「街のにぎわいの中心地」ともいわれたイオンモールでも、近年は「安泰」ではない状況になっている。少子化が進む日本で大型ショッピングセンターが生き残る鍵は――。
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。
「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか
牛丼の価格戦争――。この言葉を目にすると「懐かしいなあ」と感じる人も多いかもしれないが、いまや「500円時代」の足音が聞こえてきた、といったところでしょうか。牛丼チェーン3社の業績を見ると、明暗がわかれているようで。

