なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
ラーメン二郎府中店がXに投稿した「食事は20分以内」の“お願い”が話題になっている。「客を支配している」と批判する人もいるが、むしろ日本では今後そうした店舗が増えていくのではないか。その理由は……。
店舗の対応は正しかったのか?
SNSで一部ユーザーが「食べるのが遅く20分以上かかってしまうので他店を利用します」といった趣旨のコメントを寄せたことを受けて、同店がXで「どうぞどうぞ」と回答したことで「客商売としてその態度はどうなの?」と批判が殺到。
結局、ラーメン二郎府中店はこれまでの投稿を全て削除。「多方面にご迷惑と不快感をもたせてしまい、大変申し訳ありませんでした。深く反省しております」と謝罪に追い込まれてしまったのである。
さて、常日頃から顧客との関係性に頭を悩ませているビジネスパーソンの皆さんが、今回の騒動を耳にするとどう感じるだろうか。
「自分たちで納得する商品を提供してファンを大事にすること自体は悪いことではないが、メッセージの伝え方に問題があったのでは?」「ロットなんて一般人によく分からない用語を使って偉そうに指図したことは失敗」など、ネガティブなイメージを抱く人が多いのではないか。
筆者の感想はちょっと違う。確かに、SNSの対応はよろしくない。しかし、最初の「食事は20分以内」など店のルールを守ってほしいというアナウンス自体はブランド戦略として、それほど間違ってはいない。むしろ「正しい」といえる。
ラーメン二郎はいわば「客を支配する店」だからだ。
「客を支配する店」とは、客の要望に応えるわけではなく、店側が提供する商品やサービス、そしてルールを全て決める店だ。客は店側の提供するものをいただき、店が提示したルールを守りながら、店側の示す範囲で楽しむ。分かりやすいのはコロナ禍以降、普及している「会員制飲食店」だ。
最近はBounty of Life(東京都渋谷区)が運営する会員制フレンチレストラン「Provision」のようにサブスクリプション(定額制)で月に何度でも食事し放題の店も登場している。原料費や人件費の圧縮、フードロス削減の観点からも今後ますます増えていく業態だ。
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