「年収1000万円超え」でも断られる……企業が見落としている、ハイクラスIT人材の“本当の決め手”(1/3 ページ)
年収をどれだけ高く提示しても採用できなかった――そんな声が、エンジニア採用の現場で増えています。報酬による差別化が限界を迎えており、各社ともに新たな打ち手を模索している状況です。
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著者:芦野 成則
レバテック株式会社 リクルーティングアドバイザー
一橋大学を卒業後、官公庁に5年半勤務し、2019年にレバレジーズに中途入社。企業の採用支援を行うリクルーティングアドバイザーとして、多角的な視点から採用支援を実施
年収をどれだけ高く提示しても採用できなかった――そんな声が、エンジニア採用の現場で増えています。
かつては、「高年収の提示が決め手になる」といった採用常識が通用していた時代もありましたが、今やその前提は崩れつつあります。実際にレバテックの事例でも、年収提示だけでは採用競争を勝ち抜くことが難しいケースが目立っています。
特にシニアクラスのエンジニアやマネジャー層の採用においては、報酬による差別化が限界を迎えており、各社ともに新たな打ち手を模索している状況です。
高年収でもとれない……ハイクラス層採用で加速する「年収インフレ」
ハイクラス人材の年収が高騰している背景には、いくつかの業界変化があります。
(1)SaaSスタートアップによる資金調達と高年収化
国内でも調達額が数十億円を超えるSaaSスタートアップが増加し、プロダクト責任者やEM(エンジニアリングマネジャー)に1000万〜1500万円規模のオファーを提示する事例も。日本経済新聞の「NEXTユニコーン調査」では、調査対象スタートアップの平均年収が上場企業の平均年収を上回るなど、着実にスタートアップ系企業の年収も高まっています。
(2)外資系テック企業による“フルリモート高待遇”の積極採用
特に米国・中国系のグローバルIT企業は、日本国内でも優秀なエンジニアを高待遇で積極的に採用。リモート前提のポジションも多く、地域を問わず人材獲得が進んでいます。
(3)コンサルティングファームによるIT職種の採用強化
デジタル領域の拡張に伴い、顧客折衝や要件定義などの上流工程を担える人材の奪い合いが激化。一部ファームでは、20代のITコンサルに対して1200万円以上+成果賞与を提示する事例も見受けられます。
こうした要因により、エンジニアやマネジャー層の“年収インフレ”はますます加速しています。企業側としては、単なる給与競争からの脱却が急務です。
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