「年収1000万円超え」でも断られる……企業が見落としている、ハイクラスIT人材の“本当の決め手”(2/3 ページ)
年収をどれだけ高く提示しても採用できなかった――そんな声が、エンジニア採用の現場で増えています。報酬による差別化が限界を迎えており、各社ともに新たな打ち手を模索している状況です。
ハイクラス人材がリアルに重視するポイント
では、実際の転職希望者たちが転職時に見ている、年収以外のポイントとは? レバテックの支援実績から見えてきた、年収1000万円超でオファーを受けるハイクラス人材の「リアルな意思決定軸」を紹介します。
【事例1】10年勤めた企業を離れ、年収100万円減でも再び現場での挑戦へ
属性:40代前半・SaaS系のEM(エンジニアリングマネジャー)
転職先:スタートアップ企業のプロダクト開発リード
転職活動:経営や組織づくりに長く携わる中で、あらためて「自分の手でプロダクトを動かしたい」との思いが芽生え、転職を決意。3社以上から内定を獲得したが、最終的には現職より年収が100万円ほど下がる企業を選択しました。現場に深く入り込み、プロダクトを前進させられる環境を重視しました。
→意思決定軸:「より深くプロダクトに関われる」ポジションか
【事例2】「延長線のキャリア」に終止符を打ち、変化に飛び込む決断
属性:30代後半・SaaS(BtoB)企業の役員
転職先:数十名規模のスタートアップ企業の役員
転職活動:現職に大きな不満はなかったものの、マネジメント体制や事業がある程度整った組織で役員を務める中で、「このまま延長線のキャリアを歩むだけでいいのか」と再考するタイミングに。あえて新領域かつ構築途上のチームへ飛び込み、変化の大きい環境の中で再びプロダクトを前に進める役割を担いたいと考え、数十名規模のスタートアップに転職しました。
→意思決定軸:「自ら意思決定し、価値を生み出す」余地が大きいか
【事例3】ワークライフバランスを整え、「自分らしい働き方」を実現
属性:40代前半・大手SIerのPM
転職先:ユーザー系SIer(PL・PMポジション)
転職活動:長時間労働と高負荷な環境が続く中、家庭や自身の健康を見直したいと考え転職を決意。裁量あるポジションを維持しつつ、リモート勤務や残業抑制の文化が根付いた企業への転職を選び、キャリアと生活のバランスを取り戻しました。
→意思決定軸:年収は維持にこだわらず、「自分らしい働き方」ができるか
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