ロボットが子どもを発見、ジュースをプレゼント――KDDIとJR東日本、高輪ゲートウェイで実証実験
KDDIとJR東日本が、東京・高輪で最新テクノロジーを活用した実証実験を開始する。人の好みや行動に応じて情報やサービスを提供し、快適な街づくりを目指すという。具体的にはどんな体験が可能なのか?
KDDIとJR東日本は7月24日、「TAKANAWA GATEWAY CITY」(東京都港区)で、最新テクノロジーを活用した実証実験を開始した。人の好みや行動に応じて情報やサービスを届ける、新たな体験を提供するという。
この実証では、人の流れや街の設備データ、KDDIが保有するユーザーの興味・関心データ、JR東日本の鉄道データなど、さまざまな情報を組み合わせて分析し、個人の好みや状況に応じたサービスを提供する。
例えば、高輪ゲートウェイ駅の改札を通過すると、利用者の趣味や関心に合わせて、開催中のイベントや店舗の混雑情報などが専用アプリに通知される。提供は10月以降を予定する。
KDDIの社員向けには、あらかじめアプリに社員証を登録しておくことで、出社時や退社時のタイミングに応じて情報を配信する。出社時にはその日のおすすめ社食メニュー、退社時には周辺店舗のおすすめ商品などがスマートフォンに届く。
街中ではAIを活用した配送ロボットの導入も始まる。建物に設置されたカメラ映像をAIが分析し、利用者の性別や年齢層、家族連れかどうかといった属性を推測。例えば、子ども連れの家族にはジュースを届けたり、ベビーカーの利用を案内したりといった対応をロボットが行う。7月25日からは、商品のサンプルを配ることを中心にサービスを始める。将来的には、街中でロボットを使って商品を購入できる仕組みも導入する予定だ。
街の事業者向けには、イベント当日の人流を3Dでシミュレーションし、リアルタイムでの状況の可視化や終了後のレポートなどを提供する。これにより、警備や販売計画の立案が可能となり、事故の防止や売り上げの向上、フードロスの削減などを、低コストで実現することが可能になる。また、AIがイベントの改善点を提示することで、作業時間を短縮しながら、多角的に振り返ることが可能になるという。
電車の遅延時などには、回遊ロボットが運行状況に応じて役割を変え、音声による案内を行う。駅の改札を通る前に運行情報が分かることで、利用者は予定を変更しやすくなる。
また、街を訪れた人がアプリ上で自分の3Dモデルを作り、高輪限定のコンテンツと連携できる「おもいで3D」というサービスも始まる。デジタル上に訪問記録を残すことで、街に対する満足度の向上を図る。
JR東日本の喜勢陽一社長は、「未来に向けたさまざまな実証実験を行い、その成果を日本国内だけではなく、世界にも向けて発信し、社会実装していく」と語った。
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