花火大会、プレミアム席平均は3万6193円 住民から「地元なのに見られない」という声も

主要花火大会のうち83大会が有料席を導入し、42大会が値上げ。一般席とプレミアム席の価格差は平均6.9倍に広がった。豪華席導入が進む一方で、地域住民の不満も浮上している。

[コネムラメグミ，ITmedia]

　帝国データバンクは、全国の主な花火大会における「有料観覧席の価格動向」について調査を実施した。2025年に有料席を導入した国内主要花火大会は83大会で、このうち半数超にあたる42大会が有料席を値上げしていた。特にプレミアム席での値上げが目立ち、有料席内での価格差が拡大するなか、「妥当な価格設定」を模索する動きが広がっている。

帝国データバンクは、全国の主な花火大会における「有料観覧席の価格動向」について調査を行った（出所：photoAC）

主要花火大会「有料席」導入状況（出所：プレスリリース、以下同）

　調査対象となった全国106の主要花火大会のうち、約8割にあたる83大会が有料席を導入しており、2025年は新たに5大会で販売を開始した。一方で中止などにより2大会が減少し、前年の80大会から純増で3大会の増加となった。有料席導入数は、比較可能な2023年以降で最多となった。

　観覧客の誘導や安全確保に必要な警備員の人件費、花火費用の高騰など、運営コストの上昇を背景に、収益確保のため有料席を導入するケースが広がっている。

チケット料金の平均は？

　有料席のチケット料金を見ると、もっとも安価な「一般席（最安値）」の平均価格は5227円で、前年（5135円）から92円増と小幅な上昇となった。

有料席におけるチケット料金推移

　一方、テーブル席やソファ席、グランピングシート席など、ロケーションや設備が充実した「プレミアム席（最高値）」の平均価格は3万6193円で、前年の3万3771円から2422円増と大幅に上昇した。最も高額だったのは「2025 松江水郷祭湖上花火大会」（島根県松江市、8月2〜3日開催）の「VIPテーブル席（定員4名）」で、1区画12万円となっている。

　2025年の特徴として、安価な一般席は価格据え置きまたは小幅な値上げにとどめる一方、視界のよい場所に設けられたプレミアム席では価格上限を引き上げ、1席・1区画当たり5万円を超える席を設ける大会が多くみられた。この結果、一般席とプレミアム席の平均価格差は6.92倍となり、データのある2019年以降で最大となった。価格帯のボリュームゾーンは、1席・1区画当たり3万〜5万円台に集約されているという。

　豪華なサービスによる話題性がある一方で、高額席の販売に苦戦するケースもみられ、観覧客による受け入れ度合いにはばらつきがあるという。

　有料化の広がりにともない、開催地の住民から「地元なのに見られない」といった不満の声もあがっている。帝国データバンクは、「花火大会の有料化・プレミアム化が進むなかで、体験価値に見合った妥当な価格を模索する動きが続くだろう」としている。

　本調査は、動員数10万人以上の全国106大会（2023年時点）を対象に、有料席のうち「個人席」「グループ席」に関する価格を集計した。